第2話『クマちゃん🐻💕』

 北陸新幹線。

 目的地は富山県。

 彼氏がわたしの誕生日にプレゼントしてくれた旅行。

 わたしの彼氏。

 足柄山 熊男あしがらやま くまお

 この名前を聞いて、どんなイメージを抱く?

 足柄山で、熊と相撲の稽古をする大男とか思い浮かぶよね。

 けど、実際は細身で色白い男子。顔もちっちゃくて、中性的。いいとこは、優しくて、絶対に怒鳴ったりしないことかな。

 わたしより、3つ年上。

 さっきから、わたしの隣の席で深刻な顔でスマホの画面を見ている。

「ね、クマちゃん。

何見てるの?」

 わたしは彼氏をクマちゃんと呼ぶ。かわいいよね。クマちゃんはスマホの画面を向けて、言った。

「カチカチ山ってさ、兎に騙された狸が柴刈りに行って、集めた小枝に火をつけられても、

わ〜、アチチみたいなコントというか、ポップなイメージじゃん」

 背中に火を放たれて、何がポップじゃ!と思ったけど、確かに昔話のイラストはそんなイメージだから、わたしはうなづいた。

「今、ホントはコワいカチカチ山っての読んでいたんだけど、このお話、メッチャ凄惨なお話なのな」

 狸の名を持つ彼女の隣で、何を読んどるんじゃ!と思ったけど、気になって、ソレを読むと、ホントに凄惨なお話だった。

 ポン🦝💦


 第3話へ続く

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