第二章:一寸法師の誕生

山あいの小さな村に、長年子どもに恵まれなかった老夫婦が住んでいました。


毎晩、神棚に手を合わせ、こう願い続けます。

「どうか、私たちに子どもを授けてください」


ある夜、夢の中に優しい光が差し込み、柔らかな声が告げました。

「あなたたちの願いは届きました。間もなく、特別な子が生まれます」


翌朝、老夫婦の目の前に現れたのは、手のひらに乗るほどの小さな男の子。


身長はわずか一寸。(現在の3センチです)


夫婦は驚きながらも、喜びでいっぱいになり、男の子に一寸法師と名付けました。


「まあ、なんて小さいの!

 でも、元気に生まれてきてくれてありがとう」


一寸法師の小さな胸の奥には、前世で大男だった魂が静かに眠っています。

「今度こそ、違う生き方を…」

_

一寸法師の日常は、すべてが試練でした。

箸は大きな丸太のように重く、布団は広大な草原のよう。

茶碗は、小さな船にでもなりそうでした。


それでも、老夫婦は一寸法師に優しく声をかけます。

「小さくても、工夫すれば何とかなるさ」

そして、一寸法師の体に合わせた道具を作り、日々の生活を支えました。


一寸法師も知恵を働かせます。

葉っぱをボートにして小川を渡り、豆を小石に見立て道を作り、

針を小さな刀として戦いの練習もしました。


すべてが巨大な世界ですが、工夫と勇気で乗り越えていきました。


村の人々は、一寸法師を不思議そうに見つめます。

「一寸法師は、小さくても堂々としているなぁ」

その姿には、前世の大男の魂の強さと知恵が確かに宿っていました。


一寸法師自身も気づきます。

「小さくても、心は大きくなれる…!」


こうして、手のひらサイズの小さな一寸法師の、

工夫と知恵に満ちた冒険の日々が、静かに幕を開けたのでした。



つづく~第三章へ~


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る