第二章:性別の秘密
ある日のこと、メイは巣で仲間たちと食料を整理していました。
「ねえ、メイ。
歌ってるキリギリス達って、全員、オスなんだって!知ってた?」
仲間のアリがそう言うと、メイはびっくりして目を見開きました。
「えっ、全部オス?
じゃあ、楽しそうに歌ってたリクもオスなの?」
その日の午後、メイはリクを探しに、森へ向かいました。
森の奥では、昨日同様、リクが元気いっぱいに歌っていました。
「ねぇ!リク!あなた達、歌ってるキリギリスは全員オスって、本当?」
リクはまたまた歌うのをやめ、メイに答えてくれました。
「そうだよ。僕たちはこの綺麗な歌声でメスを呼んでるんだ。
僕の子どもを産んでくれるメスを呼ぶ。
沢山のメスに僕の子どもを産んでもらうんだ。
これが今の僕の使命、仕事さ!」
リクは胸をふくらませながら答えました。
メイは唖然としました。
「え?じゃぁ・・・女王様は?姉妹は?居ないの??
姉妹のお世話は、しないの?」
今度は、リクの頭の中が???でいっぱいになりました。
「女王様?世話?何それ?
姉妹や兄弟は居るけど・・・
僕たちキリギリスは、生まれた時から自分の力で生きてるけど??」
メイとリクはまたも見つめ合い、互いの違いに目を丸くしました。
しばらくしてメイがまたまた聞きました。
「メスを呼ぶって…
きっとメスのキリギリス達は働いてるのよ。
そして、きっと姉妹の面倒を…」
「いやいやいや、それはないよ。
さっきも言ったけど、
僕たちは生まれた時から、皆、自分の力で生きてるんだよ。
まぁ、子どもの頃は、他の虫やカエルに食べられそうになったり、
危険な事もいっぱいあるけど…。
まあ、大人になった今も、歌ってると鳥なんかに見つかりやすいから…
見つかると食べられちゃうかもしれないだろ?
いつ死ぬか分からない。
だからこそ、沢山のメスと結婚しないといけないんだ。」
メイは黙り込んでしまいました。
すると、こんどはリクが尋ねます。
「そういえば、君たちアリは殆どがメスなんだって?
オスのアリはどこに居るの?」
「オスのアリ?
ああ、話に聞いたことはあるけど・・・
私はまだ会った事ないの。
オスのアリは直ぐに巣を出ていくから…。
それに、殆ど生まれてこないしね。」
「ええええええええ!!!!!そうなの!?」
リクは頭が混乱し、目を丸くしました。
夏の光が木漏れ日となって揺れる中、
メイとリクは、アリとキリギリスの互いの世界の違いと不思議さに
驚き続けるばかりでした。
森の風が二人の間を吹き抜けて行きました。
つづく~第三章へ~
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