アリとキリギリス 〜それぞれの使命〜

山下ともこ

第1章:夏の森の出会い

夏の森は、光と風と音で満ちていました。


小さなアリのメイは、仲間たちとせっせと食料を巣にはこんでいました。


「女王様に沢山ご飯を食べて貰って、沢山姉妹を産んでもらわないと!」

 そうだわ!帰ったら、妹の部屋のお掃除もしないと!」

そんな事を考えながら、毎日頑張って働くメイ。


そんな時、森の奥から、心地よい音色が聞こえてきました。


メイは首をかしげながら思います。

「またキリギリスが歌ってるわ。

 去年もそうだったけど…キリギリス達って、どうして働かないのかしら?

 そういえば…キリギリスの女王様ってどこにいるのかしら?

 姉妹は大丈夫なのかしら?」


何だかキリギリスが心配になってきたメイは、

キリギリスの歌声がする方に歩いて行きました。


少し歩くと、キリギリスが、枝の上で胸をふくらませ、

にこやかな顔でリズミカルに歌っていました。


興味にかられたメイは

「ねぇ、あなた、なんでそんなに楽しそうに歌っているの?

 仕事はしなくていいの?」


急にアリに声を掛けられたキリギリスは、

歌うのをやめ、目を丸くしてメイをみます。


「仕事?何だい、それ?」

と、不思議そうな顔でメイを見つめます。


「仕事と言うのは・・・」

メイはキリギリスに説明をしようとしましたが、

言葉に詰まってしまいました。


『そういえば…仕事って何だろう。

 でも、私がやらなきゃいけないことだし…』


メイはキリギリスを見つめながら

「仕事って言うのは、やらなきゃいけない事よ。使命よ」

と返しました。


キリギリスは

「・・・なるほどぉ・・・

 じゃ、僕の歌と同じだよ。僕はリク。僕の今の仕事は歌う事なんだ」

とにこやかに答えました。


メイの頭の中は???でいっぱいになりました。

「そ、そう・・・なの?」


メイとリクはしばらく見つめ合っていましたが、

リクはまた朗らかに歌い始めました。


メイは

「歌う事が仕事だなんて・・・

 今度、女王様や姉妹の事も聞いてみないと…」

と、頭の中の?と一緒に仲間の元へと戻って行くのでした。



つづく~第二章へ~


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