カードローン

白川津 中々

◾️

 のんべんだらりと生きてきたツケだろうか、大変困った事になってしまった。


 カード支払いのために金をおろそうとしたところ、エラー。口座残高がなくなっていた。犯罪によって不正に引き出されたのかと焦り銀行へ問い合わせると、差し押さえ記録があるという。過去滞納していた住民税がお役所の手によってごっそり差し引かれていたのだ。


「恐らく督促状が届いていると思いますのでご確認ください」


 電話受付の言葉の通り、雑に積んでいた郵便物の中に◯月◯日に差し押さえる旨の通達を確認した。状況は完全に理解したものの解決方法がまったくない。支払いも生活費もないままどうやって生きていけばいいのだろう。国は俺に死ねといっているのか。まったく、前途多難であった。


 とにかくスマートフォンが使えるうちに調べる。検索ワードは『金ない 生き方』。結果「飲食店でバイトすれば賄いで食費が浮きますよ」といったようなクソ記事しか出てこない。「ボケカスがよぉ」と落胆。しかし、この行動によって光明が兆す。


「◯コムなら最大30日間金利0円」


 これだと思った。

 解決するには借金しかない。俺は近場のキャッシングマシンへ直行し審査を開始。ものの10分で現金10万円の獲得に成功したのである。


「存外、簡単に借りられるもんだな」


 初めてのサラ金で感慨もなく金を引き出せた。しかし、この金は返さなくてはならぬもの。次の給料が入ったら耳を揃えてきっちり返済しなくてはならない。でなければ、利息がついてしまう。だが10万。10万はでかい。無理せずちょっとずつ返していく方が現実的なような気がする。


「ま、その時になってから考えよう」


 ともかく俺は、借りた金でカードの支払いをした。

 初めての借金。初めての返済。まったく未知の体験に不安はあったが、懐に入っている金が少しだけ気を楽にしてくれた。


 明日から節約しよう。


 そう考えながら、俺は牛丼屋で大盛りを頼んでいた。

 この先の人生、どうなるかまったく不明である。

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