第3話 原罪
その夜、彼女は自らを匿い、愛してくれた七人のこびとの家へと戻った。
「姫様、おかえりなさい!」
彼らは喜びに満ちた顔で出迎えてくれた。彼らの純粋な笑顔が、彼女の罪悪感を深く抉った。
しかし、そのとき、彼女の赤い瞳に映ったのは、彼らの顔ではなかった。その細い首筋を流れる、生命の源――脈打つ血潮の揺らめきだけだった。
「だめ……」
囁きは、もう自分の意思ではなかった。新しく得た、吸血鬼の圧倒的な力と飢餓が、彼女の理性を貪り尽くした。
「あああああ……!」
絶叫と共に、白雪姫は猛烈な勢いでこびとたちに襲いかかった。短く鋭い悲鳴が、小さな家中に響き渡る。彼女は七人のこびとたちの細い首筋に、生まれて初めての牙を立てた。
血が熱い。甘い。全身の細胞が歓喜する。
気づけば、彼女は血に濡れた口元を拭い、目の前に倒れた七つの小さな影を見下ろしていた。彼らは息絶えてはいなかったが、永遠にも似た深い昏睡状態に陥っていた。
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