【03】人口増加促進法(令和十四年法律第百五十七号)

第一章 総則

(目的)

第一条

人口増加促進法は、少子高齢化に対処するための抜本的対策として、国の主導の元に人口減少に歯止めをかけ、もって労働人口等の社会基盤を維持し、将来に渡って社会制度を担保することによって、国民の福利厚生に資することを目的とする。


(国の責務)

第一条の二

この法律における国の責務は、「未来児」の創出と生育のために必要な体制、人員、素材等を確保するために必要な、予算等を含むあらゆる措置を講じることである。


(都道府県の責務)

第一条の三

この法律における都道府県の責務は、国と共に「未来児」の創出と生育のために必要な体制、人員、素材を確保し、「未来児」生育のために各都道府県に設立される「国立未来園」において、「未来児」たちの生育が滞りなく進められるよう、あらゆる措置を講じることである。

この措置の中には「国立未来園」の運営に必要な人材の確保や、「未来児」が所属する学校等での教育環境の確保等が含まれる。


(定義)

第二条 未来児

この法律において「未来児」とは、第四条に規定する手順に従って創出される児童をいう。


2 代理母

この法律において「代理母」とは、第四条に規定する手順に従って「未来児」を受胎し、出産する女性をいう。


3 精子提供者

この法律において「精子提供者」とは、第三条に規定する手順に従って、精子を提供する、日本国籍を有する男性をいう。

ただし本人またはその父母または祖父母が、外国籍から日本国籍に帰化した者は、これに該当しない。


4 卵子提供者

この法律において「卵子提供者」とは、第三条に規定する手順に従って、卵子を提供する、日本国籍を有する女性をいう。

ただし本人またはその父母または祖父母が、外国籍から日本国籍に帰化した者は、これに該当しない。


5 国立未来園

この法律において「国立未来園」とは、国が各都道府県に設立し、未来児育成ガイドライン(こども未来省令 令和十四年第二号)に従って、所属する各都道府県によって管理運営される、「未来児」の保護生育施設をいう。


6 指定医療機関

この法律において「指定医療機関」とは、未来児創出ガイドライン(こども未来省令 令和十四年第一号)に規定する要件を満たし、同ガイドラインに規定する手順に従って未来児創出に必要な精子及び卵子の収拾及び受精、代理母の受胎、代理母及び胎児の健康管理、及び未来児の出産等を適切に実施する医療機関等をいう。


(未来児創出のための精子及び卵子の収拾)

第三条

国は各都道府県を通じて、第二条第三項で定義する精子提供者及び同条第四項で定義する卵子提供者を募集する。


第三条の二

各都道府県は前項で募集に応じた精子提供者及び卵子提供者が、この法律で規定する要件を満たすことを確認し、所属する指定医療機関等において、精子提供者及び卵子提供者から提供された精子及び卵子の収拾及び保管を行う。


(未来児の創出)

第四条

指定医療機関は第三条第二項で収集した精子及び卵子のうち、国立人口増加研究所が無作為に選出した精子及び卵子を用いて受精を行い、同研究所が選定した代理母に受胎させる。


第四条の二

指定医療機関は出産後すみやかに未来児を代理母から隔離し、所属する都道府県が指定する国立未来園に引き渡すまでの一定期間、未来児を保護し、その健康管理を行う。


第四条の三

指定医療機関は未来児創出ガイドラインに従って、未来児出生後すみやかにその旨を所属する都道府県に届け出る。


(未来児への戸籍の付与)

第五条

指定医療機関から未来児の出生に関する届け出を受けた各都道府県は、所属する市町村に指示して、当該未来児に戸籍を付与する。


第五条の二

所属する都道府県から前条の指示を受けた各市町村は、すみやかに当該未来児の戸籍を作成する。

作成に際しては、戸籍上の架空の父母を設定すること。


(未来児の保護及び生育)

第六条

指定医療機関から未来児の引き渡しを受けた国立未来園は、未来児育成ガイドラインに従って、未来児の生育及び教育指導を行う。

なお未来児は、満年齢が十八歳に達し、高等学校における教育を修了するまでの期間、国立未来園において生育されるが、それ以降は原則として園を出て自立しなければならない。

但し本人または園の管理者が希望し、その理由を各都道府県が認める場合においては、継続して未来園に所属することが可能であることとする。

その理由の中には、大学進学等が含まれる。


附則(令和十四年三月三十一日 法律第八十二号)

(施行期日)

第一条

この法律は、令和十五年四月一日から施行する。

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