お母さんの思い出
高橋志歩
お母さんの思い出
由香は、マグカップのコーヒーを一口飲んでから牛乳を注いだ。ダイエットを考えて砂糖は我慢する。
「由香、牛乳にコーヒーを入れるのが正式なコーヒー牛乳なのよ」
由香はうんざりしながら、リビングテーブルの向かいに座る母親に文句を言った。
「もうさあ、好きにさせてよ。どっちでも混ぜれば一緒じゃない」
母親は、由香がコーヒー牛乳を注ぐたびに正式なコーヒー牛乳じゃないと小言を言う。由香は飲む気の失せたマグカップを置いて立ち上がると、カバンを持ってさっさと玄関に向かった。
今日は日曜日だけど、図書館で友人と待ち合わせをしている。どうせ受験勉強をするなら、家を出て外で勉強した方が気楽だ。
母親が後ろから声をかける。
「車に気を付けてね。暗くなる前に早く帰ってくるのよ」
「わかったってば。いつも同じ事言わないでよ」
「心配してるのよ。昨日、マンションの小公園でどこかの飼い犬が死んでたって。もしかしたら不審者が……」
「気持ちの悪い話はやめてよ!」
由香は怒鳴って、ドアを開けた。
「由香! ちゃんと挨拶をしなさい!」
母親の声に由香は振り返らず、返事もせずに外に飛び出して、ほっと息をついた。
最近、母親をうっとうしく感じる事が本当に増えた。いつもいつも同じ小言。早く兄のように大学生になって家を出たい。
憧れの一人暮らし! 両親が認めてくれるかどうかはわからないけど、でも希望があれば重苦しい受験勉強も頑張れる。なるべく家から遠くの、きれいで環境のいい大学がいいなと由香はうきうきしながら、図書館への道を歩いた。
今は春。有坂由香は高校2年生になったばかりだった。マンションの2階に会社務めの父親とパート勤めの母親という平凡な両親と暮らし、3歳年上の兄は少し遠い大学で下宿生活を満喫している。兄はそこそこ勉強が出来るから、今度帰ってきたら受験の悩みを聞いてもらおうと由香は考えながら、まだ咲いている桜を見上げた。
図書館で落ち合った友人の草野優子と一応真面目に勉強し、カフェでお茶を飲んで別れてから、由香は少し憂鬱になった。朝の事を母親はまだ怒っているかもしれない。玄関からすぐに自室に入って何とか適当にやり過ごそう、と考えながらマンションの階段を上り由香は鍵でドアを開けた。
玄関に、すらりと背の高い面長の、見知らぬ女性が立っている。
「あ、すみません!」と言いながら慌てて由香はドアを閉めた。間違えて別の部屋のドアを開けたと思ったのだ。でも確かに自分の家だ。見上げた表札には『有坂』と書かれている。知らない親戚だろうか? 由香は、またそっと扉を開けた。
見知らぬ女性はまだ立っていて、呆れたような表情を浮かべている。
「どうしたのよ、由香。出たり入ったりして」
初めて聞く、聞いた覚えのない声だ。
「え……? あの、ここ私の家ですよね?」
女性は、笑い出した。
「由香の家に決まってるでしょう。早く部屋で着替えて手伝ってよ」
「でも、じゃああなたは誰ですか? 親戚ですか?」
女性は軽い怒りの表情を浮かべた。
「由香! 親に向かって失礼な悪ふざけはやめなさい!」
「でも……」
目の前にいる女性は、知らない人だ。お母さんは小柄で丸顔だ。しかし女性は、さっさと背を向けると台所に行ってしまった。
由香は、両手を握り締めながら家に入り自分の部屋に行った。一体何が起こったんだろう? 訳がわからない。確かにあの女性は、家を出た時の母親と同じ服装をしていた。でも顔などは全く違う。とりあえず服を着替えて、恐る恐る台所に行く。
キッチンカウンターの向こうで料理をしている女性は、部屋から出て来た由香の気配を感じて顔を上げた。
「由香、大きなお皿を出しておいて。焼き魚だから細長い方ね」
普通の話し方だ。由香は、唾を飲み込んでとりあえず女性の言う通りにした。もうすぐ父親が外出先から帰って来る。そうしたら、きっと母親が入れ替わった異変に気づいてくれるだろう。
女性の言う事に適当に相槌を打ち、一緒にテレビを見ながら由香はひたすら父親の帰宅を待った。
やがてドアの開く音がして、父親が「ただいま」と言いながら玄関に入って来た。女性はすぐに立ち上がり「お帰りなさい」と言いながらリビングを出て行く。
由香は身体を固くして父親の声に耳を澄ました。女性が話しかけている。
「あら、その顔の傷どうしたの」
「うっかりドアにぶつけてさ。目立つか?」
「そうでも無いけど」
え? と由香は信じられない思いで2人の会話を聞いていた。やがて父親がリビングに入って来た。確かに四角い顔の右頬に傷があるが、いつもと変りない。由香に話しかけ、女性に話しかけている。
母親が見知らぬ女性になっても、父親は何も言わない。全く変わらない。
もしかして、自分だけが、頭か目がおかしくなったんだろうか……?
3人で夕飯の食卓についても、由香は食事がほとんど喉を通らなかった。父親と女性はいつも通り会話している。父親の知人が入院していて、見舞いに行ったが病状はあまり思わしくないらしい。女性は、奥様も大変ねえと同情している。やがて由香が黙りこくっている事に父親が気づいた。
「どうした由香、今夜は大人しいな」
由香は急いで取り繕った。
「え。うん。何でもない。色々疲れて」
父親が少し心配そうな表情を見せた時、女性が優しく言った。
「図書館で草野さんと一緒に勉強を頑張りすぎたんじゃない? 今日は早く寝なさい。受験は健康第一よ」
由香は、思わず女性の顔を見た。何か違和感がある。でも何だろう? 父親のそうしなさい、という声を聞きながら由香は小さくうなずいた。
由香は風呂から上がると、すぐに部屋の電気を消してベッドにもぐり込んだ。いつもならスマホで動画を見たりするけど、今夜は何もする気になれない。枕に顔をうずめてじっとして、このまま眠って、明日の朝目覚めたら元に戻っているといいのに……お母さんが台所にいたらいいのに……。
その時、優子からスマホにメッセージが届いた。習慣でアプリを開くと、今日図書館でうっかり由香のペンを持って帰ってしまったらしい。ごめん明日学校で返すね、という文章に返信して、突然由香は気づいた。
母親には、今日図書館で優子と一緒に勉強するとは話してなかったのだ。細々と口出しをされそうで面倒だったから……なのにさっきあの女性は「図書館で草野さんと一緒に勉強」と言った。どうして知っていたのだろう?
考えているうちに、急に涙が出て来て止まらなくなった。なんでこんな事になったんだろう……。
何日かが過ぎた。しかし何も変わらず、由香は誰にも相談できない日々を送っていた。
女性は普通に由香の母親として家庭内に存在し、家事をしてパートにも出かけ、スーパーで買い物をして近所の人と立ち話をしている。母親が別の見知らぬ女性に入れ替わったのを気づいているのは、由香だけなのだ。
リビングの隅の本棚に並べられていたアルバムも確認してみた。家族写真に写っているのは、全て母親ではなく笑顔のあの女性だった。きっと何もかもから母親の姿は消えて、あの女性になっているのだろう。母親の両親はとうに亡くなっているし、他の親戚にも期待できない。由香は細かい詮索をやめた。母親がいなくなった確認なんてしたくなかった。
女性は母親よりずっと小言が少ないが、由香は何だか阿られているようで嫌で嫌でたまらなかった。それでも、父親に心配をかけたくなかったので、何とか女性をお母さんと呼ぶように努力した。
やがて初夏になり、兄が帰省してきた。
由香は少しだけ期待していたが、やはり兄も父親と同じように普通に女性と接して、リビングでジュースを飲みながら賑やかに喋っている。気落ちして黙っている由香に、兄がからかうように声をかけた。
「なんだよ、そんなにジロジロ睨んで。なんか苦情でもあるのか?」
別に、と言おうとした由香はぎょっとした。
兄の横に立っていた女性の首が、ぐるん! と回転したのだ。
一瞬後頭部が見え、のっぺらぼうのような顔が見え、けれどすぐに普通の顔に戻って兄を叱った。
「やめなさい。由香は受験で神経質になってるんだから」
由香は女性の顔を見ながら、自分の手が震えるのを止められなかった。
その日の夜。由香は机に向かって勉強はしていたが、昼間の出来事をどうしても思い出してしまう。
あの女は、やっぱり変だ。
もう誰にも頼れない。父親にも兄にも。でも今の自分は無力だ。何をどれだけ訴えても、誰も聞いてはくれないだろう。だけど元々興味があった法律の勉強をして、将来偉い弁護士になれば、きっと自分の話も周囲に信じて貰える……。ふと時計を見ると、真夜中近い時間になっていた。そろそろ寝ようと参考書を閉じた時、妙な物音に気付いた。
こつん。こつん。こつん。
こつん。こつん。こつん。
固い靴を履いた足で歩き回っているような音が、リビングの方から聞こえてくる。友人の家に泊ると言って出かけた兄が帰ってきたのだろうか? 気になって、由香はドアを開けてみた。足音は止まりリビングは真っ暗で……いや違う。壁際に置かれたテレビが点いていて、何かの深夜番組が流れている。でも音は出ていない。何だろう、スイッチを切り忘れたのかなとテレビに近寄った由香は、テレビ前のソファに女性が座っているのに気づいて、思わず悲鳴を上げた。
女性の首が、かくんかくんと前後に動き、立ち上がった。
「ごめんね。どうしても眠れなくてお父さんを起こさないようにして、こっそりテレビを見てたの」
テレビ画面からの明かりに照らされた女性は、寝間着姿だ。まだドキドキとする胸を押さえながら由香は何とか返事をした。
「びっくりしたよ。音が出てないし」
「うるさいだろうと思って。ぼんやり見ているなら、音が無い方が落ち着くもの」
「……あのさ、歩き回ったりはしてないよね?」
「してないよ。どうして」
「何でもない。足音が聞こえたような気がしただけ」
女性の足元を見ると、スリッパも履いていない素足だ。あの音は気のせいだったのか。女性はテレビを消し、リビングは真っ暗になった。
「やっと眠れそう。私はもう部屋に行くから、由香も早く寝なさい」
「うん」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ……なさい」
由香は部屋に戻ると、電気を消してベッドに横になった。でもまだ胸がどきどきしている。
あの女に脅迫された……由香には何故かそう感じられた。あの女、ではなく<母親>と考えなければ。もっと頻繁にお母さんと呼ばなければ。
由香は体を丸めて頭を抱えた。
もしかしたら<母親>は由香の考えている事がわかるのかもしれない……。
その夜から、こつんこつんとリビングを歩き回る音が頻繁に聞こえるようになった。時間は不規則でいつ聞こえるか予想はできない。
由香は極力無視をするようにし、イヤフォンで音楽を聴きながら勉強し、寝る時は耳栓をするようになった。それでも音には神経質になってしまい眠りも浅くなった。
学校の教室にいても、<母親>が自分の部屋に入り込んでいるのではと気が気ではなく、落ち着かなかった。家の中で<母親>がまだ足を踏み入れてないのは、由香の部屋だけのはずだ。
由香の部屋に洗濯物や掃除機を持って入ってきた母親の思い出を、あの<母親>が消そうとしているような嫌な気がした。だから、日曜日もなるべく部屋にいるようにした。
あんな<母親>の言いなりになりたくないけど、満足はさせなければいけない。だから、極力素直な態度でいるようにし、スーパーに一緒に買い物に行き家事を手伝った。受験勉強という口実で、家族揃って出かけたりするのはやんわりと拒否できるのが救いだった。
がむしゃらに勉強したので成績は上がったけど、友人の草野優子との関係は微妙になった。陰で色々噂をされているようだったけど、気にしないようにした。
暑い夏の日々、夏休みになった由香はひたすら部屋で受験勉強をしていた。決して気は許していなかったが、<母親>との関係は表面上は落ち着いてきた。
足音は聞こえるが、妙な行動は無い。由香は少しばかり安堵したが、その頃から父親と兄が妙に怪我をするようになってきた。
父親がドアにぶつかって腕を傷めたり、階段から落ちてねん挫をしたり。兄は道を歩いていて自転車がぶつかってきたりと、大事にはならないが小さな事故が続いた。由香は、もしかして<母親>が何かをしているのだろうかと疑ったけれども、父親の病院に付き添い、兄への電話で心配する話し声を聞いているとそうは思えなかった。
気にしないようにしよう、と由香は自分に言い聞かせた。<母親>が見ているのは自分だけなのだから。
夏休みが終わってもまだ暑いある朝。由香は<母親>の頭の形が変わった事に気づいた。額から上が摘まみ上げられたように長くなっている。思わずまじまじと見つめていると、<母親>が話しかけてきた。
「どうしたの? ぼんやりして。まだ眠いの?」
「ううん、そうじゃなくて。お母さん、頭痛とかしてない?」
「してないわよ。暑いからちょっと体調は辛いけどね」
<母親>の態度も変わらないし、父親も何も感じていないようだった。腰が痛むとしかめ面をし、<母親>が湿布を買ってきておくねと返事をしている。仕方ない、今さら<母親>が変わっても気にしないでおこうと由香は思った。
しかし<母親>の姿はどんどん変化していった。
明らかに身長が伸び、由香が少し見上げるほどになった。頭も少しずつ伸びて七福神の頭の長い神様のようだ。どうして……と由香は台所で家事をする<母親>を見ながら心の中で嘆いた。母親がいなくなっただけでも辛くてずっと耐えていたのに、<母親>が見た事もない異様な姿に変わっていく。そしてこの事も、気づいているのは由香だけなのだ。由香がじっと<母親>を見ていると、<母親>は首をぐるんと回転させたりする。時には首を傾けたまま笑顔で由香に話かけてくる。
「由香、パートの帰りにプリンを買って来たよ。一緒に食べよう」
由香はただ頷く事しか出来なかった。
ようやく涼しい秋になったが、<母親>の異様さは徐々にひどくなっていた。
伸びた頭が重いのか、右に左に傾けたままでいる事が増えた。それにつれて目も妙な動きをするようになり、白目になったり寄り目になったりする。父親や由香への態度は普通だが、ぶつぶつという聞き取れない独り言が増えた。少し落ち着いていた由香の心は、また暗く落ち込み始めた。部屋にいても、気がつくとリビングから足音がする。
こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。
こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。
由香は耳をふさぎ、聞かないようにした。こんな日々が続いて自分は耐えられるのだろうか……由香は泣きたかった。でも泣けなかった。
――お母さん。お母さんに会いたい。
最近、母親との楽しい思い出を思い浮かべる事が多くなった。由香が大学に合格すれば、母親はどれだけ喜び、自慢に思ってくれただろう。今なら絶対に母親の事をうっとうしく思ったりしないのに……由香の胸は、自己嫌悪でじくじくと痛んだ。
その日の夜、由香は初めてはっきりとした母親の夢を見た。
どこか知らない場所、灰色の壁に囲まれた広い部屋に母親が立って由香の方を見ている。「お母さん!」と由香は叫んだけども母親は寂しそうな笑顔を浮かべているだけだ。
由香は夢中で母親に駆け寄ろうとした。でも身体が重くて上手く動けない。「お母さん! お母さん!」と必死で叫び母親の表情が少し変わった。
次の瞬間、四方八方から何本もの黒く細長い手が伸びてきて母親を捕まえた。みるみるうちに母親の姿が黒い霧のようなものに覆われていき、微かな悲鳴が聞こえた。
由香は絶叫しながら飛び起きた。体中が汗に濡れていて心臓が早鐘のようだ。母親はどこかに連れ去られ閉じ込められてそして……。
リビングからいつもの足音が聞こえてくる。
こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。
由香は涙をぼろぼろこぼしながら、両手で顔を覆った。
どうしてどうしてどうして。お母さんが、私がこんな目に遭わないといけないの? 由香はドアに向かって、足音の主に向かって大声で言った。
「あんたの目的は何よ? はっきり言いなさいよ!」
けれど何の返事も無く、足音はしばらく続きやがて聞こえなくなった。由香は惨めで悔しくて、一人で泣いた。<母親>が憎くて、無力な自分が憎くて泣きながら枕を殴った。
ようやく朝になり、泣きはらした顔で部屋から出ると父親が慌ただしく出かける準備をしていた。入院していた父親の知人が、昨夜急に亡くなったと連絡が来たのだ。
死んだんだ、と由香はぼんやりと考えた。
玄関を出て行く父親を見送ってから、由香はリビングに戻った。今日は休日だ。勉強は出来るだろうか? もう全てがどうでも良くなっていた。
冷蔵庫から牛乳を出し、マグカップで湯気をたてているコーヒーに注ぐ。
母親がいなくなったあの日から、ずっと飲んでいなかったコーヒー牛乳。正式じゃないコーヒー牛乳。
向かいに座った<母親>は、首を傾けてぶつぶつと独り言を呟いてから、急にはっきりと言った。
「連絡があったら、私とお父さんはお通夜やお葬式に行くから。留守番をよろしくね」
マグカップを見ながら、由香はゆっくりと<母親>に言った。
「あなたは正式じゃないって、言わないんだね」
<母親>は首を傾けたまま、しばらく考えて返事をした。
「もうそういうのは、ねえ、いいじゃない。どっちでも混ぜれば一緒」
由香はかろうじて声を出した。
「……そうだね。混ぜれば一緒だもんね」
マグカップを振り回し、目の前に座っている女の、白目をむいた顔にコーヒーをぶちまけて喚き散らしくたくなる。
――あんたなんか大嫌いだ……お母さんを返してよ……私のお母さんを返してよ……。
でも、何を言っても無駄だ。由香はマグカップをそのままにして立ち上がった。
「部屋で勉強してる」
<母親>は頭を左右に振りながら、寄り目で返事をした。
「がんばってねー、けんこうにきをつけてねー」
「……ん」
顔を見ないようにして小声で返事をした由香は部屋に戻り、ドアを閉めた。突然、全身の力が抜け床に座り込む。
――どうして、私は、あの時、お母さんの顔を見て、行ってきますって言わなかったんだろう……。
この後悔は、自己嫌悪は、ずっとずっと続くのだろうか。
お母さん。
丸顔で小柄なお母さん。
コーヒーに牛乳を入れるのは正式なコーヒー牛乳じゃないって、いつも言ってたお母さん。
お母さんは、もういない。
由香の思い出の中だけに存在するお母さん。もう決して会えないお母さん……。
ドアの向こうから足音がする。
こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。こつん。
リビングを歩き回っている<母親>の足音を聞きながら、由香はいつまでも座り込んでいた。
お母さんの思い出 高橋志歩 @sasacat11
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