第2話 ここはどこだ?

「イタタ┅┅なんか変だな?」


木々に囲まれた場所に1人┅┅

ここは地球ではなく【ルーア星】

地球の次元世界で無くて別の異次元世界

異世界へ死んで飛ばされた┅┅


「山の中?しかし┅俺は死んだよな?でも生きてる┅ハハ┅生きてるよな?・・・」


両手をジッと見る┅┅小さい┅そして白くて柔らかい?

ゴツゴツとした痩せた手だったがまるで子供のような手だ┅


立ち上がり周りを見渡すと道も無くブカブカのコンビニ店員姿は異様に思えた


「ちっ┅生きてるって事はカレンやシンシアの所へは行けなかったのか┅

ハハ・・・また生きるのか?

ここはどこなんだろ?こんなでも違いくらいは分かるぞ┅」


目覚めてからの違和感を感じ自分が自分で無いのを実感していた


空は青く高い、流れる風と空気が違うのも感じる

初めて見た生き物も知ってるスライムと言う生き物┅


「異世界と言うのは物語やアニメで知ってるからな

多分あれはスライムだろうから間違いなく異世界なんだろう

異世界へ転生して生きてるって所か┅

しかし赤ん坊じゃ無いのは変だな?

それに記憶が有るんだ?転移が正しい筈だが┅┅」


ズボンの裾をまくり上げブカブカの靴は仕方ないか┅

腕も捲ろうとシャツを掴むと涙が自然と流れた┅┅


「生きろって言うのか┅┅それも知らない世界でなんて┅俺は呪われてるのか?

ふん!どうせ上手く行かないだろうな┅┅

頑張ってたつもりで結局誰にも理解されず誰にも認められなかったんだ┅そして地獄のような不幸を知るだけだよ┅」


トボトボと歩き開けた所に出たらやはり山の中だと分かる

崖だろうか大地が切れた場所から見る景色は圧巻だった


緑の大地が広がり大きな川が流れその遠くの先に見えるのは町┅


「ありゃ壁に囲まれた町だな┅

異世界に良くある城壁に囲まれた町そのものだ

それならモンスターか魔物がどこにでもいるって事か┅

ここもその場所なんだよな?

武器も何も無いぞ?どうする?」


不恰好ななりで体も小さくなってるのも分かってる

動き辛いのもイライラするがそこは年のゆとり?なのか焦る事はなかった


「整理しよう、俺は死んだ┅┅そして今は生きてると言う訳だ、そしてどうやら若くなってるみたいだ・・・小さいから子供か?

この手や足が物語ってるからな

服も大きいし、さて?

これはなんの冗談かな?生きろと言われても死ぬのが早いぞ

それに何も知らないからな┅」


ジッと考えるユウサク┅


「確かこんな時はステータスだったか?見れるんだよな

それを見て考えるとするか┅腹も減ってるしな┅」


木を見ると実が成ってる┅安全と思い木に登りその実を取って食べる┅┅うむ美味しい♪


リンゴとも桃とも言える赤い実は意外と食べれて旨い

腹が減ってたからか食べるのに夢中になったのは仕方ない


木の下にはスライムが跳びはね角が生えたウサギも出てきた


「やはり異世界だな、木の上だと安全だと分かったがステータスを見ないとな┅」


念じると目の前に半透明のボードが現れそこに書かれているのは更に気落ちする事だった


年は15歳でヒト族とはな、それにしてもこの数値は低いと俺でも分かるぞ┅


それにスキルとか魔法も何も無いとは┅┅こりゃ殺されるか、食えずにの垂れ死にだな┅┅はぁ~


それでも焦らないのは年の功なのか?前世の記憶なのか?

異世界の物語やアニメを知ってるからか?

他人事みたいに思ってるのか?


簡単な事だ、ユウサクと言う男は失望と言う事を知ってるし、絶望も知ってる

そして殺されるのも経験して知ったんだから┅


痛いのは痛いが死ぬ事がそう怖くなくて頭に流れる走馬灯がゆっくりと流れる程度だと思ってる


今更死ぬ事や酷い境遇を何も思わない

為るようにしか為らないと知ってるしそう思ってるんだろう

だから┅┅┅


武器は石ころと木の棒だなとか?服をどうにか動き易い様にとか?靴がどうにかならないか?

そんな事を自然と考え生きる算段をしてるとはね


これでも知らない土地へ行って言葉も通じない土地を幾つも歩いた経験が身に付いてる


アフリカなんてこの世界と変わらないだろ?

電気も車も道と言える道も無いんだからな

言葉もチンプンカンプンなんだ

部族で全然違うし┅


ジャングルで無くても狂暴な動物が襲って来る

それに虫も最悪だった、アリなんてモンスターだからな

アマゾンも異世界と言えるじゃないか┅┅どうにかなる


この男┅意外とシタタかなのでは?


【プルプラの実】山や森に自生してる樹木 栽培もされ普通に流通してる果実


折れた枝を掴み小さい小枝を取ると棒として武器にしてる


「これ意外と硬くこれなら剣の代わりになるかな?

この実を幾つか持っていたいがどうしよう?

袋とか無いか?このコンビニ服を袋にするか」


気候は温かく寒くも無い、天気が良いから日の日射しは気持ち良いくらいだ


ブカブカのYシャツ姿でズボンもゆるゆるだがベルトを目一杯絞ればどうにかずり落ちない


5個の実を包み草を食べてるウサギ目掛けて飛び降りると棒で突く


ギュキューァア!バタバタ!


「暴れるな!このぉ!この!」

キュゥゥ┅┅


棒で強く叩き続けるとグッタリとして息を引き取ったウサギ┅

角は折れ飛び降りた時に突いた所は窪み口から血を吐いてる


「どうにか獲ったが捌くのにナイフとか無いしな┅」


少し考えが足りないのは性格?┅

しかし!経験則でニワトリやウサギは血を抜かないと肉が臭く食べれないと知ってる様で平たい石で喉を叩き切りぶら下げ血を抜く為に木に吊るす


火とか水とか考える事で先を考えられないのは生きる事を足掻いてるのかも知れない┅┅




一方では┅┅神域┅┅



『ほ~い!アフローディア!お久ぁ~』

『テレスなの?どうしたのよ?』

『フフン♪あのね?貴女の星に落とした魂の事で来たのよ』

『ああ┅┅あれはなんなの?』

『創造神様が地球の魂をこの星に落としたのよ

それも前世の記憶を残したままよ 転生なんだけど転移に近いかしらね』


『それで変な魂なのね?でも地球の前世の記憶持ちなら異世界人って事よね?

前に勇者を召喚して転移したのとは違うのね

それで?私にどうせよと?』

『それが創造神様ったら面白いからだって それとね?

この星を管理してるのはアフローディアって言うとニヤリとしたのよ

あのニヤリは何か含みを持ってるわよ』


『私を試すとか?どうして?』

『あの魂って前世は散々だったみたいよ それで死んだのも殺されてだからねぇ

運命が少しおかしいのよ

それとね?創造神様はその魂に関与してないのよ

だからこの星で生きるの難しいと思うわよ

地球は科学が発達して争いも少ないでしょ?

戦うなんて無縁な日本って所だったしね』


『地球はアマテラス様の管轄よ?良く許したわね?

それに日本なら召喚した勇者の国よ

それを何も関与せず落とした┅』


『地球では結構な年齢らしくこの星へ落とすのに創造神様ったら次元を越える時に守った程よ

若いなら持ちこたえるけど年を取った魂は消滅するからね』

『それで?私に面倒見なさいって言うのね?

じゃあ貴女も見てよ その魂のステータスとか』


『良いわよ その為に来たんだから 貴女がその魂を世話してる間は星の管理は任せて

何時も神域で事務仕事ばかりだから新鮮よ♪』

『はぁ~まぁ良いわ ステータスっと・・・これは!』


『あちゃぁ!酷いわね?創造神様は何を考えてるのよ!』

『これはこの星では子供以下のステータスよ それに能力も着けてないわね

スキルに魔法無しってなんの罰なの?』

『それは罰じゃ無くて貴女に任せたんじゃないの?

この星の世界を知ってるんだから』


『そうね┅この数値は無いわぁ

幼児程度よ そして言葉も知らないんでしょ?

何も知らない何も能力が無いって殺したいの?』

『そこをチョチョとしなさいって事かな?あのニヤリはそんなだと思うわよ』

『もう!面倒な事を!やっと勇者とかの問題が済んだと言うのに!

しかし可哀想な魂ね┅┅』

『そうなのよ この魂って子供や奥さんが不幸な死に方してやる気失くして生きてたのを犯罪者に殺されたの

それでも受け入れた魂よ 生きるのになげやりで諦めてるのか冷めてるのよ』


『厄介な魂って事ね 15歳って事は成人年齢で前世の能力は有効みたいよ

武器が無いのに魔物を倒して何かしてるもの

あら?この数値は動かせないのね?なんで?』


『それ創造神様の仕業ね 数値は駄目でもスキルとか能力枠は自由に出来るみたいよ

職業も駄目ね┅何をしたいのかしら?』

『あのお爺ちゃんったら私を試して笑うつもり?

それなら数値に対して経験値倍増とかを着ければ良いわね

言葉も勇者達に使った言語理解をっと┅収納も有ったが良いわね

この数値は中々大変そうだから』


光と美の女神アフローディアはユウサクに対して創造神の理不尽を可哀想だと同情して少し贔屓目にステータスを弄った


HPとか数値は無理だったが頑張ればどうにか生きて行ける程度と思い【経験値10倍】【スーパーマジックバッグ】【鑑定】【生活魔法】を与えた


『それだけ?少なくない?』

『創造神様は足掻いて生きるだろうって仰ったのよね?

じゃあ色んな能力は駄目よ

最低限度の能力でどうにかするでしょう?

足掻いてだからね』

『そうだけど!なんか可哀想だわ 加護も駄目でしょ?

翼を取られた鳥みたいよ?ギフトは必要よ』

『普通に転生した方が辛く無いでしょうね┅┅15歳って年齢で中途半端に落とされ知らない所で知らないもの達の中で生きるのって苛酷よね?

家族も知り合いも常識と言うのも知らないんだから

そうね┅ギフトはこれで良いかな

マジックバッグに必要な物を入れて置きましょうかね お金とか道具に服も┅ウフフ』


『魔法は必要よ?書物を入れて置けばどうにかするわよ

後は町へ行って勉強するでしょうからね』

『そうね勇者達は勉強だけはしてたわ そんな種族なんでしょうね日本人って変わった種族よ┅』


教育と道徳に人との繋がりを身に付けてるのは民族性なのか?

それか永い歴史の中で培われた物か?

日本人とは地球でも少し不思議な人種かも知れない


地球は50億年前に誕生して20万年前にホモサピエンスがアフリカ大陸に出現した

他の種族はユーラシア大陸で類人猿から進化して行った


ホモサピエンス種は5、6万年前に何故かアフリカ大陸から出て行って世界へと進出した

そして進化した類人猿達と混ざり世界中に広がる


しかし人間と言う進化を果たしたホモサピエンスは地球の寿命を蝕み滅びへと進んでる


多くの生物は永い時を掛けて進化する

人間も進化を続け今も進化しているらしい


地球が滅ぶ事は誰もが知ってる現在、人間は結局ホモサピエンスとして進化すると言われてる


AIとの融合進化とか宇宙での特異進化とかも想像されてるが足掻いてるだけで地球ではホモサピエンスとして最終進化すると生物学者達は口を揃える


この【ルーア星】はヒト族が主流で亜人種と呼ばれるヒューマノイドも存在する

人間は存在しないのだ、ヒューマンと言われた特殊種族



それもこれも創造神の仕業なのだが┅┅


人間からヒト族として生かされポイっと落とされた男はどうするのか?

全てを受け入れ足掻くのか?

創造神が言うように面白いのかも知れない┅┅



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