第3話 テレビの向こう側③
それからの中学生活は、
思っていたよりあっという間に過ぎていった。
定期的に集まって、
深夜アニメを見て、
感想を言い合う。
放課後の会話は、
自然とその話題ばかりになった。
でも、それはあくまで“楽しい時間”だった。
将来の夢とか、
仕事とか、
そんな大それたことは、
誰も口にしなかった。
卒業式の日。
体育館の天井を見上げながら、
俺はぼんやり思っていた。
この時間も、
この関係も、
いつか終わるんだろうな、と。
実際、終わりは突然だった。
高校は、それぞれ別々。
進む道が分かれ、
連絡を取る回数も減っていった。
スマホを持っていなかった俺は、
気づけば、
テレビの前で一人になる時間が増えていた。
それでも――。
深夜になると、
あの時見た声が、
ふと頭をよぎることがあった。
ただの思い出。
そう思っていた。
この時は、まだ。
まさか数年後、
あの声にもう一度呼び戻されるなんて、
考えもしなかった。
声が生まれた場所で(仮) 月夜 イクト @tukiyomiikuto
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