第三章 真実

大悟は、司令部より送られたる極秘文書を読み終え、愕然とした。

外寇計画。

二十年前、皇国は天より飛来せし未知なる霊力体と遭遇した。その霊力体は、人の精神と融合することで、強大なる力を発揮することが判明した。

大本営は、志願者を募った。

「皇国の守護者となれ」と。

「御国の為、散華せよ」と。

されど、融合には副作用があった。時の経過と共に、人の意識は薄れ、霊力体の本能——「破壊衝動」に支配されていく。

外寇とは、嘗て皇国の英霊たらんとした者達の成れの果てであったのだ。

そして——轟雷号も亦、同じ技術にて造られていた。

「即ち、小官も……いずれは……」

大悟は、己の手を見つめた。

ふと気づく。

手が、震えていない。

五年間、幾度も死線を潜り抜けてきた。恐怖を感じなかった訳ではない。されど、いつからか、「震え」という反応自体が失われていた。

それを、武人としての成長だと思っていた。

大和魂が鍛えられたのだと。

されど——真に左様であったか?

大悟は、徐ろに立ち上がった。

「司令官殿」

通信機に向かって、静かに言った。

「小官は、彼の外寇を救います」

『何を申す! 不可能である!』

「不可能に非ず」

大悟は、操縦桿を握りしめた。

「轟雷号の霊力核を、彼奴に移植する。左様すれば、彼奴の暴走を抑え得る筈であります」

『愚かなり! 左様な事をすれば、貴様は——』

「散華するやも知れませぬ。されど——」

大悟は、映像板に映る敵の姿を見つめた。

苦しみながら、それでも臣民を殺したくないと叫んでいる、嘗ての皇軍の英霊の姿を。

「小官は、御国を守る為に存在するのであります。ならば——彼奴も亦、守らねばならぬ」

それが、小官の大和魂であるが故に。

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