第二章 邂逅

外寇が動いた。

その巨躯が信じ難き速度で跳躍し、轟雷号に迫る。大悟は反射的に機体を横に転がしたが、敵の鋭き爪が左腕部を掠めた。

警報音が鳴り響く。

「畜生……!」

大悟は体勢を立て直し、右腕部に装備せし荷電粒子砲を構えた。照準を合わせ、引鉄を引く。

閃光が夜空を切り裂いた。

直撃。

されど——外寇は、僅かによろめいただけであった。

「馬鹿な……」

荷電粒子砲は、これまで如何なる外寇も一撃にて葬り去ってきた最強の武装である。それが、効かぬ。

外寇が、徐ろにこちらを向いた。

その刹那、大悟は凍りついた。

敵の「顔」——そこに、確かに表情があった。

悲しみ。

苦しみ。

そして——懇願。

『……助けてくれ』

声が、聞こえた。

通信機からではない。頭の中に、直接響いてきた。

「な、何だ……?」

『助けてくれ……小官を……殺してくれ』

大悟の手が、震えた。

「貴様……言葉を解するのか?」

『最早……抑えられぬ……肉体が……勝手に……』

外寇の動きが、一瞬止まった。まるで、何かと戦っているかの如く。

『臣民を……殺したくない……されど……命令が……』

「命令?」

大悟の脳裏に、ある可能性が浮かんだ。

「貴様は——真に、我等の敵に非ざるか?」

外寇の体が、びくりと痙攣した。

『小官は……元は……皇軍の兵……であった』

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