鋼鉄ノ魂

@hashito_

第一章 出撃

「大悟! 応答せよ、大悟!」

通信機より響く司令官殿の御声が、操縦室内に木霊した。

神崎大悟一等兵は操縦桿を握りしめたまま、前方の映像板を睨みつけていた。巨大なる影が、炎上する帝都を背景に立ちはだかっている。敵性機械生命体——我が皇軍が「外寇」と呼ぶ存在である。

「聴取しております、司令官殿。されど——」

大悟は歯を食いしばった。

「小官は、退きませぬ」

通信機の向こうで、司令官殿が息を呑む気配がした。

『愚かなり! 轟雷号の損傷率は既に七割を超えておる。これ以上の戦闘は——』

「小官が退けば、この帝都の臣民は悉く死にます」

大悟は叫んだ。胸の奥より、熱きものが込み上げてくる。

「小官は——我等は、その為に存在するのでありましょう! 御国を守る為に! 陛下の赤子たる臣民を守る為に!」

轟雷号。全高二十五間の人型決戦兵器。大悟は徴兵検査の折、この機体の操縦士に選ばれた。適合率九十八。歴代最高の数値であった。

それより五年。数え切れぬほどの戦いを潜り抜けてきた。

されど、今日の敵は違った。

これまでの外寇とは、根本的に何かが違う。

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