第5話 私の原罪

 この世界軸での私は、真央ちゃんとは中学校以降深く関わることがないのよ。

 

 入学式以降、彼女は学校の中心グループの中に同じ小学校から上がった親友と入ってしまったので、踏み入ることができなくなった。そのグループは、陰湿に見えないいじめをするので、関わらない方が良いと思ったから。

 

 それでも変わらず。私の人生は、罪悪感半分でした。

 この世界軸での真央ちゃんは、高校一年生の夏に不慮の事故で校舎から転落することが決まっているの。

 そして、中学校卒業前に最後に見かけた私が好きだった男の子の寂しそうな背中。


 それらを止められなかったことが私の原罪なのです。


 彼と私は、同じ小学校からの友達だった。やはり、この世界軸でもどうしようもなく惹かれていた。何度介入しても、私は彼を見ているだけで、何もできないのだけどね。


 ある日、遠目に見ていた中心グループは、彼をいじめの対象に選びました。真央ちゃんも、グループの女王からあぶれないように、必死で彼女の機嫌を取り、笑いたくもないことで笑っていたね。私は、そんなあなたの姿に心がひどく傷んだよ。


 あなたが亡くなったのは、ちょうど64歳の時だった。現在の私が覚えていることは多くはないけれど、こうして未来から時々あの頃のあなたたちに会いに来ています。


 由美

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