センターラインの向こうに

鈴鹿8時間耐久、夢だった。セミの歌が木霊する、もうあれから1年。忘れやしないさ、ZZRは結局潰した、それで良かったんだ。


ーーーー「土浦レーシングファクトリーのヤマハR1がアタックラップに入ります!!」


鈴鹿のホームストレートを駆け抜ける、全ての景色がスローモーションのようだ。最初のコーナーを抜け、第2コーナー、逆バンク、そこを風となり駆け抜ける。


ーーーー「セクター1のタイムが出ました!!トップチームのヤマハレーシングファクトリーのタイムに-0.1が出ています!!信じられません!!」


デグナコーナー、こんなに怖いところはないが峠のヘアピンと比べてみろ。あいつが死んだコーナーを思い出せ!コーナリングを終え、一気にスピードを出しヘアピン前で減速する。


ーーーー「何だこのタイムは!セクター2で-0.2!!とんでもない、このままだと5秒台も夢では無い!!」


スプーンカーブを抜け、鈴鹿130R、高速コーナーをカタナのように突き刺すように駆け抜ける。フロントが勝手に入っていく。


ーーーー「さぁ、土浦レーシングファクトリーのヤマハR1がシケインを抜けホームストレートに入ってきます。」


シケインからの加速が重要だ、ここでタイムを落としたらポールポジションは無い、!


ーーーー「土浦レーシングファクトリー!2:05.900!!とんでもない!!とんでもないタイムです!ポールポジション確実です!」


明日の決勝に向け俺は、愛車のAE86に乗り込む、バイクのレースに出るがバイクで公道はもう走りたくない、俺はもう街道レーサーじゃないからだ。


俺はエンジンをかけ、走り出す。

センターラインの向こうに、アイツがいる気がした。

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センターラインの向こうに 石鎚榛名三里の山 @fusoukokoku

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