第3話
鷹野は僕の存在に気づいていて、泳がせていたのだ。パニックであまり覚えていないけれど、「こんなところで何をしているのか」と鷹野と問い詰められた気がする。僕は覗き見していたことから話を逸らすために、人気のない屋上で葉山と何をしていたのか、と茶化してみると、「薫のことが好きなのか?」と聞き返され、言葉にならない声を出してしまった。慌てふためく姿がよほど面白かったのか、鷹野はお腹を抱えて笑い始めた。
しばらくツボにハマっていたので、失礼なやつだなと思ったが、おかげで僕も平常心と取り戻すことができた。お返しのように、金銭の受け渡しを目撃したことを伝えると、鷹野はバレては困るから、とため息混じりに経緯を説明した。
鷹野と葉山は"協力関係"だそうだ。鷹野の家は母子家庭であったが、母親が病気を患い、治療費と生活費を稼ぐためにやむなく色々な人から無心しているという。そのために葉山がグレーな仕事で稼いでいることを鷹野に伝えた。僕は鷹野の反省を期待したが、だからなんだと言わんばかりに平然としていた。
すると、鷹野から「どうしても葉山のことを想うなら」と、ある取引を持ち掛けられた。まるで僕の心を見透かしているかのように。その取引とは、100万円を僕が工面することを条件に、鷹野が葉山から手を引く、というものだった。
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