第2話 まずは最初から


 まずは始まりから語って行こう。


 私にとって、小説も映画も全て“別のセカイ”。


 決してただの創作ではない。


 誰が何と言おうと、別のセカイが広がっている。


 等と大真面目に主張するのだから、周囲の言う通り、私は変人なのだろう。


 物語は凄い。


 作者一人一人に“セカイ”があり、とても心躍る。


 でも、私は自ら執筆する事はなかった。


 恐れ多いと思っていたし、私の“セカイ”を生み出す事が怖かったからかも知れない。


 だが、ある日。


 転機が訪れる。


 それは友人(仮にA子としておこう)との会話が切っ掛けだった。


 A子「このキャラクター、何で性格変わっちゃったの? 途中までは好きな性格だったのに」


 私「まあ、読者に嫌われるからじゃないかな。誰も求めて無いんだと思う」


 A子の好む男性キャラクターは少々変わっていた。


 一般作品ではヘイトを集め、最後は死を迎える。


 いわゆる、読者の溜飲を下げるポジションだ。


 それを回避する術は何か。


 簡単だ。


“成長した”という理由を付けて、性格を丸くしてしまえば良い。


 要は“改心”である。


 無論、改心しても嫌う人は残るだろう。


 だが、これで生存√が見えて来る。


 しかし……元の性格を好むA子にとって、それは死んだも同然。


 A子は期待しては落胆し、期待しては落胆し。


 この繰り返しだった。


 その時― ―


 居ないなら、書いてみるのはどうだろう。


 そんな考えが頭を過る。


 私なら書けるかも知れない、と。


 だが、決定打にはならなかった。


 この時は。



 数か月後。


 知人の勧めで多くの作品に目を通す事に(タイトルは伏せる)。


 勧めるには多過ぎる作品数かも知れないが、私は一切気にしない。


 また新しい“セカイ”に触れられると、私はワクワクした。


 でも― ―


「……これ、また同じ」


 危険な性格のキャラクターは死ぬか改心。


 偶然の一致にしてはあまりにも多い。


 そこで、私は暗黙の了解になっているのだと悟る。


 A子の嘆きを本当の意味で理解した瞬間だった。


 必ずこうなる、と。


 これが決め手となった。


 自分の“セカイ”を創ろう。


 居ないなら、生み出してあげれば良い。


 他の誰でも無い。


 私の手で。


 そして、私は筆を執った。


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