こどく

☒☒☒

第1話

 小学校2年生の頃、仲良くなりたい子がいた。

 その子はとにかく可愛かった。

 いつもスカートをはいていて、髪型も毎日違うリボンなどのヘアアクセサリーで飾られていた。

 フリルたっぷりのブラウスも今考えるとアイロン必須の非常に気を遣う繊細な服を着せてもらっていた。


 だけど、そんな可愛い子なのに友達がいないみたいだった。


 別に嫌われてるとかじゃなくて、特別誰かと仲良くすることがない。

 周りとは当たり障りない会話をしているだけだった。


 私はそのこと仲良くなるのに、昼休みや放課後なにをしているのかつけていったことがある。


 そしたら、あの子は瓶を持っていろんな花を集めていた。

 もちろん花壇のではなく、誰が摘んでも文句を言われないたんぽぽとか桜の花が落ちたやつとか。


 花の瓶詰めを作っているんだ。

 なんて可愛らしいのだろう。


 私は彼女の過ごし方をみて、感心した。

 とても女の子らしいし、可愛い。


 男子と鬼ごっこしたり、噂話したりそんなどちらのタイプでもない彼女の過ごし方がすごく素敵に見えた。


「ねえ、なにしてるの?」


 しばらくして、私はやっと彼女に話しかけた。

 彼女は少しびっくりした顔をしたあと、


「これはね、集めてるの」


 そう言って瓶を見せてくれた。

 そこには色とりどりの花びらと葉と茎と虫が蠢いていた。


「こどくっていってね、一番強い子を決めて、その子が願いをかなえてくれるんだって」


 あの子はそう言って笑っていたけど、何やら湿っぽい瓶の中で蠢く無数の足をみて、悲鳴をあげて逃げたのだった。

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こどく ☒☒☒ @kakuyomu7

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