第4話 友人と世界観
リシュリーノ、スヴォーフと一緒に授業を受けるようになってからわかったことがある。リシュリーノは覚えるのが早い。特に国語とか俺より習熟スピード早いんじゃねえかな。一方スヴォーフは逆にクロイネ(チェスの様なもの)と言った戦略ゲームでは無類の強さを誇る。やだ、うちの奴隷優秀すぎ.......!そして俺にも変化が現れた。リシュリーノのギフトの影響で身体が軽い。木登りとかすいすい登れるし、この前なんか部屋のある3階から近くの木に飛び乗ることもできたし(そのあと母やアイリスさんにものすごく怒られたが)、パルクールみたいなこともできる!楽しい!やっぱ同世代がいると遊びの幅が広がっていいな!俺がゴーサイン、スヴォーフがアクセルを踏み、リシュリーノはブレーキを踏ませない。止めるのは大体親かメイド、偶に先生。無敵だ.......!そもそも大学生で死んでそこからずっと子供生活。貴族的な振る舞いも教えられているが、まだ4歳なのでそこまで言われない。そして同世代の子供もいる。つまりノリと勢いで行動する。男って何歳になっても子供だから、こういう生活が一番楽しい。尚遊び惚けていたらテストで赤点取って強制補習の模様。リシュリーノたちはきちんと勉強していてあっという間に成績抜かれて、お前らいつ勉強したんだよ!って思った、なんなら今でも思っている。
「スヴォーフ.......お前らいつ勉強してんだよ.......」
「えーと、僕は寝る前にリシューに教えてもらってる!リシューってね!すごいんだよ!頭の中にスルスル入ってくるの!」
「へえ.......僕も教えてもらうかな」
「いいじゃん!バーブ様も一緒に勉強しようよ!」
そういう経緯で俺もリシュリーノ先生の補習テスト対策講座を受講した。結論から言うと理解は進んだ。というか、地歴に関しては元が文系だったこともあって結構わかりやすかった。宗教とか王国の歴史とか結構西洋史に似ていたから応用が利いた。まあ年号とかはまだまだだけど大まかな流れは把握できた。魔物に関してはサブカルの影響でわかった。そして気付く。これ、俺が勉強してなかっただけだなって。
「はい、ではミリバーブ様、王国のある大陸は何でしょうか」
「ロペーロ大陸です!」
「正解です。では現在ニナーナル家はどこに所属していますか?」
「ヴォルクーネ王国です!」
「正解です。では王国内でよくみられる魔物を5つ答えてください」
「液体系のスライム、魔狼のヴェロード、人魔系のオーク・ゴブリン、魔魚のサイマオです!」
「人族と魔物の違いは?」
「人族は死んでも魔石を落としませんが、魔物は魔石を落とします!」
「そうですね。魔石に関しては産まれた時に魔石が胸についているかどうかも魔物と人族の違いになりますね。よくできています。では、今日はここまで。明日から繰り上げて魔法の授業に入っていきます。とはいってもモンテン語の授業からになります」
「わかりました。リシュリーノ!スヴォーフ!遊ぼうぜ!」
「最初は随分大人びた、大人しい子供だと思いましたが.......あれが素なんでしょうね。けどよかった。年相応の笑顔をしていて。やはり同世代の友人というものは大切ですね」
「皆さん、テキストは持っていますね?.......では始めます。まず、モンテン語の始まりはスルーク帝国で使われていた言語になります。現在は魔法言語として使われていますが、祝福教の教会領やバローネ教国では現在も公用語として使われています。王国語と文字は多少違いますが、文法などは共通しています。では、なぜモンテン語が魔法言語としての地位を確固たるものとしているか。それは過去の魔法士たちが書き残した魔導書をよむことができるからという理由です。そして宗教的には魔法というものは神様が私たちに与えた奇跡の一端であり、そして魔法が与えられるとき同時にモンテン語を与えられたとしています。正直言って魔法士たち、とくに学問研究者からすればそんなことどうでもいいんです。ただ、解き明かしたい。そのために古代から使われていた文字を使い、奇跡の究明をしようとしているのです。一般の魔法士においては、モンテン語がどの地域の魔素に適応するというメリットからモンテン語が魔法言語として使われています」
宗教勢力に喧嘩売ってんだよなあ。この家庭教師。というかアカデミズムここにありだな。ていうか、先生が言うことを信じるなら使うのは別にモンテン語じゃなくてもいいのか?
「正直、今現在魔法言語としてのモンテン語は新種の魔法式や魔法分野の論文関係でしか使われていません。過半数以上の魔法式は王国語に翻訳されています。どちらかと言えば祝福教関係でのモンテン語使用の方が多いのが現状ですね」
はへー、けど俺には翻訳があるからマジで俺にはあんま関係ないのか?魔法とかもあんまり使わなそうだし。いや、代償の影響で戦闘がないとは限らないから覚えておいて損はないだろう。いつギフトが使えなくなるかわからんし。あの神様のことだから急にギフト削除とかしてもおかしくないんだよなあ。良くも悪くも人に縛られない神だし。てか、あの神ってこの世界の管轄者なのか?てか唯一神なの?けど祝福教の経典見ると多神教っぽいんだよなあ。わかんねえ。多神教でもあの神の様な神ばっかだと思わないが、似たような神は絶対にいる(確信)まあここの宗教観はまだわかんねえな。ここはどちらかというと世俗権力が強いし、あんまり教会に行かないし、行くとしたら祝日くらい?。え、今気づいたけど、教会いかないってことは王権神授説じゃないの?だけど教国(恐らく教皇領みたいなものか?)や教会領があるから宗教勢力も強そう?まあ、そこらへんは後からわかるだろ。
因みにモンテン語の文字は結構すぐにマスターして、語彙は簡単な語彙を覚えることが出来た。使わなかったら忘れるからスヴォーフたちと復習しよう。
用語
魔素:魔法を使うための着火剤の様なもの。各地域ごとに性質が異なり、各国の公用語に翻訳される魔法は、各国ごとの魔素に適している魔法が多い
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