第3話 恐怖の大王
世界の崩壊……。
ということは、ABCD子もその家庭も消滅。
あいつらが家庭の事情で断るからランチや飲みにも行けず私はやさぐれたんだよ!
さーて、もう1本吸おうかな。ちょっと待って。もう15分くらい過ぎてない?
「あのう、ギンジさん。15分経ってません?」
「大王様は恒星移動戦艦に乗っておられるでがんす。全長1200㎞の大型艦ですから遅れてるでがんすよ」
ま、そういうこともあるか。死ぬ時くらい綺麗にしましょうか。唇がガサガサになるけど、リップティント塗りましょうかね。あと目尻をしっかりしておきたいからアイライナーを。
……どっちもないわ。
なんだかんだで5分くらい経った気がする。まさか来ないってことないでしょうね。なんか外が騒がしいし、サイレン鳴ってる?
「いよいよでがんすな。我々の秘密結社『ワシの爪団』の悲願が成就するでがんす」
なーんだ。この人、裏切り者? ま、いいや。どうせ世界は終わるんだし。すごいサイレン音だな。聞いたこともない怖い音。
《あ、あ、マイクテスト、マイクテスト……》
なんなの? こんなときに!
ギンジさんは恍惚として涙を流していた。
《未確認飛行物体の残骸が上空から降ってきます。王都のみなさんは屋内に避難してください。繰り返します……》
「ギンジさ、ん」
エッ? いない? 逃げた?
めちゃくちゃ逃げ足速いな。
老人とはいえさすが勇者。
じゃなくて裏切りの勇者。
突然、地鳴りがした。フロアが大きく揺れた。あーあ。世界が終わるどころか地獄の始まりですわ。報道合戦という地獄。もうサイアク。仕事だからとにかくやらなきゃ。
すごく大きな物が落ちてる気がする。現場に行って写真だけでも撮らないと。一眼レフカメラは支局に置いてきちゃったし、スマホのカメラでもいいから、とにかく現場を押さえないと。
私は急いでエレベーターに乗り1階へ降りた。ドアが開くと、黒髪短髪のイケメン、イケオジ? が立っていた。なぜに喪服? てゆーか、そのタイピン……。
「すみません。その緑のタイピンってどうされたんですか?」
「不愉快だな。目のつけ所はいいが、まずは自己紹介するのが礼儀ではないかね?」
しまった。ここに出入りしているってことは神殿の人かな。私は一礼して謝罪した。
「私はミオリといいます。そのタイピン素敵ですね」
「アレキサンドライトだからね。ほしいならあげるが、どうするね?」
ここは異世界。ルナとは関係ない。私は首を振った。
「失敬。僕はケンサクだ。君の報告は逐次届いていた。恐怖の大王を倒すのに役立ったよ」
んー。どういうこと? この人が恒星移動戦艦を落としたってこと?
「君はうちの村の大勇者だろ? ここの神に報告してくるからロビーで待っていたまえ」
ケンサクさんは軽く手を振ってエレベーターに乗った。同じ勇者村の人か。同郷といっていいのかわからないけど、少しホッとしている。
私はロビーチェアに腰を下ろしケンサクさんを待った。
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