第15話 風呂なしはつらいよ

俺、ふわふわのマシュマロ食べてちょっと人間に戻ったところで、急に現実に戻った。「……てか、今日はもう終わりですか? お風呂とか……、歯磨きとか……、どうすんですか……?」

おじさん、缶ビール飲みながら、

「あー?風呂?ないよ!」

……ないのかよ!!!

「ここは川が近いからな! 明日朝、みんなで川入って体洗え! 男の洗い方だ!」川!?冷たい!石ゴロゴロ!ヒルいそう!!ミッチーが「え……、お風呂……、ないんですか……?」ってガチで泣きそうになってるけど、増尾「いいだろ風呂ぐらい、一日ぐらい入らなくたってどうってことねえよ!」とか言ってる。せっかく日本に産まれたのに風呂の素晴らしさを知らないなんて、可哀想な奴だ!

俺、「じゃあ歯磨きどうするんですか……?」って聞いたら、おじさん、ドヤ顔でペットボトルの水とコップ出して、「ほれ、ここで歯磨いて地面にペッ! 自然に還すんだよ!」……地面にペッ!?

俺ら高校生だぞ!?ここ日本だぞ!?

ミッチー、もう完全に心が折れた顔で、

「……宅間くん……、俺……、もう家に帰りたい……」

って小声で呟いて、俺の袖ギューッて掴んでる。俺も正直、心の中で100回「帰りたい」って叫んでるけど、

「……明日まで……、明日まで耐えよう……」

って自分に言い聞かせた。で、結局、 歯磨き → 焚き火の横でペッ

顔拭き → ウェットティッシュでゴシゴシ

パジャマ → Tシャツ半ズボンのまま

風呂 → 明日までお預け


テントに入ったら、汗と蚊取り線香とマシュマロの甘い匂いが混じった地獄の香り……。ミッチーが寝袋に入る前に、

「……宅間くん、隣……、いい……?」

って震え声で聞いてきたから、

「……おう、いいぞ」って答えたら、めっちゃ近くで丸まって寝始めた。……俺、明日絶対筋肉痛とヒル恐怖症と風呂なしトラウマで死ぬわ。

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宅間はるきの日常 ミセス・マーガレット @maagaretto

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