第10話 怪談の怖さ比べ

焚き火がパチパチ鳴る中、順番が決まった。

おじさん→ミッチー→ 俺→増尾。まずおじさんが、「墓地で見た人魂」話を始める。

火の粉が舞うたびに顔が赤く浮かび上がって、マジで怖い。

最後「それが俺のすぐ横を……スー……って」ってやられた瞬間、ミッチーが「ひっ……!」って俺の腕にすがりついた。


次はミッチーの番!「僕、小さい頃の誕生日、写真を撮ってもらったんです。あとでその写真を見たら、なんか指が透けてて……、別にそのあとも指をケガしたりとかはなかったけど怖かった」

増尾、「マジか!?今度見せろそれ!」って言ったらミッチー、「うん、いいよ」


次は俺の番!「僕、小さい頃のクリスマスの日、写真を撮ってもらったんです。あとでその写真を見たら、なんか脚が透けてて……、別にそのあとも脚をケガしたりとかはなかったけど怖かった」

増尾「ミッチーの丸パクリじゃねえか!」


次、増尾!どこからか扇子を取り出し、「こんばんは、増尾亭としのりでござんす。短い怪談をひとつ……」

なんで落語なんだよ!でも真面目にやってるから黙って聞く。

「あっしが先日夜中にションベンで起きて、便所に行った時のことでございやす。寝ぼけまなこでフラフラ歩いてって便所でジョボジョボやってたら、下から声が聞こえた。『もっと左……、いや右……、あ、そこでいい……』『うわっ、幽霊か!』慌てて逃げて大家さんに言ったら、『アンタ、便槽の下に俺の部屋があって、天井に穴開いてんだよ。ションベンが俺の顔に直撃してただけだ、このクソ野郎!』なんでそんな仕組みの建付けになってるんでい!……おあとがよろしいようで!

俺「意味が分かんねえよ!怖くもねえし!ふざけやがったな!」でも3人でゲラゲラ笑う。


おじさん「じゃあ決定~! MVPはミッチー! 罰ゲーム確定だな!」ミッチー、顔面真っ青。

「なんでだよ!皆ふざけたじゃんか!てかおじさんの話のほうが怖かったよ!宅間くんの言う通り、暴漢に襲われるかもしれないし!あ、2人で行くってのはどうですか!?パクリでズルした宅間くんも一緒に!」って必死に抗議してるけど、

おじさん「ルールはルール!」の一点張り。ミッチー、震えながら立ち上がって、

「……わ、わかった……、行きます……」

って、懐中電灯一つ持たされて、暗闇に消えていった。……ごめんミッチー、だって俺怖かったんだもん!

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