第5話 薪割り初挑戦
カレー完成! ……って思った瞬間、増尾のおじさんがニヤリと笑って、「よーし、飯食う前に男のロマンだ! 薪割り~~~!!」……は?
ロマン? どこに?おじさんがキャンプ場の隅から、丸太の束とデカい鉈(なた)持ってきた。
刃渡り30センチはある本気モードのやつ。ヤバい、殺人現場じゃねーか!「ほれ、宅間! ミッチー! 男なら斧振り下ろして薪割れ! 火の神に捧げる儀式だ!」俺とミッチー、顔を見合わせる。
……儀式って、俺らの命か?増尾はもう「俺からいくぜ!」って鉈振り上げて、バコーン!って一撃で真っ二つ。
すげえ!伊達に槍投げで腕力鍛えてねえな!次に俺が恐る恐る鉈持たされた。
重い! これ振り下ろして外したら自分の足が薪になるんじゃ……!「ほら腰入れて! エイ! ヤァ!!」っておじさんの掛け声に合わせて振り下ろした瞬間、
ガキン!
鉈が丸太に弾かれて跳ね返りやがった! 手が死んだ! ヒジまでビリビリ震えてる!「お前力なさすぎだろ宅間! バド部のプライドどこ行った!」増尾がニヤつきながら叫ぶ。
ひどい! 俺はシャトル打つだけで精一杯なんだよ!続いてミッチーが震えながら鉈持つ。
「俺……無理かも……」って小声で言ってるのに、おじさん「男ならやれ!」の一点張り。
ミッチー、覚悟決めて「んっ!」て言って鉈振り下ろした瞬間、
……コツン。
鉈が丸太に軽く当たって止まっただけ。
割れるどころか、傷一つ付いてねえ!おじさん大爆笑。
「おいミッチー、お前それじゃ火つける前に自分が燃え尽きるぞ!」ミッチー、目を潤ませて「……ごめんなさい……」って謝ってる。
謝るな! 悪いのはこの理不尽儀式だ!結局、薪は全部おじさんと増尾が割って、俺らは「丸太運ぶ係」に降格。
……いや、これでいい。これが正しい役割分担だ。
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