第4話 玉ねぎ対策の秘密兵器

テントやっと立ったー! って達成感に浸る間もなく、増尾のおじさんが「よし次、夕飯だ! カレーな!」って宣言。

で、なぜか俺とミッチーが料理担当に指名された。初心者差別かよ!おじさんがデカい鍋と野菜山盛り持ってきて、

「ほれ玉ねぎみじん切り100個分! 男の涙を見せるなよ!」

100個!? カレー何十人前だよ!俺が「え、マジすか……」って顔してたら、おじさんニヤニヤしながら何か取り出した。


……ラップ。普通のキッチンラップ。「これで涙対策バッチリだ!」

って、いきなり俺の顔にペタッ! ミッチーの顔にもペタッ!

目ん玉の真上にラップ貼られて、視界がビニール一枚隔てた世界になる! 息苦しいし、すぐ曇るし、しかも超ダサい! これで玉ねぎ切れって、目じゃなくて心が死ぬわ!「うわっおじさんやめてくれマジでかっこわるいって!」

って叫んだら、おじさん爆笑しながら「男なら我慢しろ! 昔は新聞紙かぶって切ったもんだ!」

昔の男つらすぎだろ! しかもラップ貼られたまま玉ねぎ切る俺ら、完全に変態ホラーじゃねーか!ミッチーは「うぅ……、恥ずかしい……」って真っ赤になりながらも逆らえず、ラップ顔で玉ねぎに挑む。

そばかすがラップで潰れてる……なんか可愛いような気の毒なような……。俺も仕方なく包丁持ったら、視界が歪んで玉ねぎが三重に見える! 涙は出ないけど、代わりに羞恥心で目から何か出そう!


増尾が遠くから「うわ!バカみてえ!だはははははは!」って写真撮ってるし! 消せよその写真!結局、ラップ曇りすぎて全然切れず、おじさんに「もういい!」って剥がされた。涙対策どころか、涙の原因が増えただけじゃねーか!……でも出来上がったカレーはマジでウマくてまた涙が出そうだったぜ!結果オーライだ!

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