第3話 非論理的な感情と「アルゴリズム」の沈黙

 レコメンデーションやマッチングアプリなど、生活の中でも「アルゴリズム」による最適化に深く依存しつつあるように思えます。すべてが「0と1」の二元論に還元されるデジタル世界の合理性は明快ですが、愛や運命といった割り切れない感情は、この論理の枠組みに収まりきるのでしょうか 。


 0と1それだけなのに揺れている アルゴリズムは愛を知らない


 世界のすべては「0と1」で説明できるはずなのに、自分の心だけがどうしようもなく「揺れている」 。私はこの歌で、「愛」を、アルゴリズムが決して解を持たない非合理的な揺らぎそのものとして定義してみました 。愛とは、計算や手順では決して理解・予測できない感情の運動そのものなのです 。


 また、「運命」という非論理的な概念を「アルゴリズム」という論理の極致で検証しようと試みた歌もあります。


 0と1運命ならば揺れぬはず アルゴリズムは答えを持たず


 もし二人の関係がプログラムされた「運命」ならば、答えは「0か1か」のように定まり、心は揺れないはず 。しかし、確かな答えを求めてアルゴリズムに問いかけても、それは沈黙し、「答えを持」ちません 。非論理的なものを論理によって証明しようとする試みの行き詰まりは、思考の限界に突き当たった、現代人の深い迷いを象徴するかのようです 。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る