第2話 解読不能な心と「暗号」のメタファー

 コミュニケーションツールが飛躍的に発達した現代ですが、技術的な近さが必ずしも心の距離を縮めるわけではありません 。むしろ、相手の心を理解できないもどかしさや、想いが届かない疎外感が先鋭化しているように思います 。この現代的な断絶を捉え出すのが「暗号」というメタファーです 。


 暗号化されたこの恋解けぬまま パスワードなどはじめからなく


 誰にも解き明かせない「暗号」として捉えた恋心 。その解読キーである「パスワード」を探し求めた先に直面する、「はじめからなく」という冷徹な真実 。これは、努力では解決しようのない、一方通行の恋の絶対的な断絶、つまり関係性が成立する前提条件すら存在しなかった、という根源的な不可能性と、そこから逃れられない諦観を描いてみました 。

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