第1話 システムの深層に残る、消せない「永遠」
物理的な記憶が色褪せていくのに対し、デジタルの「記憶」は劣化を知りません 。キャッシュやログといったシステムの深層部に、過去は完璧なかたちで、そして時に無慈悲なほど永続的に保存されてしまいます 。この「消去不能性」は、忘れようと努めても、ふとした瞬間に過去を鮮明に呼び覚まし、恋愛における感傷に新たな苦悩を与えてしまうでしょう。
スクロール止めた指先のこる君 キャッシュの奥のスマイルだけは
何気ない「スクロール」という日常の表層的な行為が、反射的に止まってしまう指先という心の動揺を伴って、システムの深層である「キャッシュ」に保存された過去へと繋がってしまいます 。意識では整理したはずの過去が、寸分違わぬ鮮明さで現れる、その瞬間の衝撃を捉えてみました 。
また、過去のトラウマによる心理的な無限ループを描いた歌もあります。
再起動繰り返しても消えぬ過去 ログに刻まれバグとなりけり
コンピューターの「再起動」を試みても、心を刷新しようとする試みは失敗に終わる 。なぜなら、過去はもはや「ログ」に深く刻み込まれ、正常な思考を妨げる「バグ」と化してしまったからです 。消去も修正もできず、ただ現在の自分を蝕み続ける過去の重みを、痛切に描き出せたらと思いました 。
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