森が、私を喰う日

復讐の先に、救いはあるのか——

柚木梢は、全てを奪われた。
気候変動による土砂災害で故郷が消滅し、婚約者と家族を失った。
だが真の絶望は、その後に訪れた。

上司の牧村に罪を着せられ、社会的に抹殺された梢。
SNSで顔を晒され、メンヘラと罵られ、居場所を失った彼女が辿り着いたのは——廃村となった故郷の、異様な「森」だった。

気候変動で覚醒した古代菌類。
植物は菌糸ネットワークで集合知性を持ち、人間の感情を学習する。
森は、梢の怒りに反応した。
そして彼女に囁く。「痛みを、取り戻す方法を教えてあげる」と。