7. 七十パーセントの確率
「あいつ非戦闘型だろ」
「ホゴタなら、七十パーセントの確率で攻撃が通るって」
「また理屈か」
そんなことを言いながらも、おじいちゃんは防刃チョッキを着替えながらホゴタを優しく見つめている。
「攻撃、することで僕を守る、って」
「あいつらしい。いいか、よく見てろよ。ホゴタにだって勇気はあるんだ」
「勇気? ホゴタはアンドロイドだよ?」
「
「な、何で!? 何で嘘なんか……!」
「いいから、見てろ」
おじいちゃんに言われ、僕はホゴタの方へ視線を移した。そこには、どう見ても太刀打ちできないような出刃包丁を右手に、中華包丁を左手に持ったホゴタがくちばしを素早く避けながら懸命に
「ホゴタ……! ホゴタ、がんばれ!」
「お、いいぞ、そこだ! ああ、惜しい、もうちょい右! ……
「
ホゴタは伏せた姿勢も取らず、
「ホゴタ……! 逃げないと!」
「首を横に振り始めた。理久、伏せろ!」
「ホゴタは!? ホゴタ!」
「あいつを信じろ!」
おじいちゃんの手が、僕の後頭部をぐいっと押す。でも僕は少しだけ目を上げてホゴタを視界に入れる。
「ホゴタあああ!」
僕が見たのは、くちばしと崖に挟まれたホゴタの姿だった。
僕の目はどんどん涙で濡れていく。ホゴタ、ホゴタ、と呟く僕の前に左足を引きずりながらやってきたホゴタは、いつものように優しく微笑んだ。
「ホゴタ、よかった……!」
「うへ、おまえすげえなぁ。狙ったのか? まさか脳天にあの石を落とすとは」
「はい。衝撃で石を落としたら殺せると判断し崖に向かって
「け、計算のことはあとから聞くよ。ああ、本当によかった……」
どんどん出てくる涙を拭いていると、視界の端にわずかに動く何かが映った。
「……ん?」
「理久、どうした?」
「まだ、死んでいない……?」
「いやぁ、頭にあんなすごいの食らったら死ぬだろ」
「グアアァ……」
おじいちゃんの言葉に応えるように、
ホゴタがまた出刃包丁を手にした。左足は故障しているのに。
足元にはバーベキュー用金串が転がっている。僕は咄嗟にそれを手に取り、走り出した。頭は「行ったらダメだ」と言うけれど、体が言うことを聞かない。勝手に右手が金串を握りしめる。
「理久! やめろ!」というおじいちゃんの声が聞こえる。でも胸の中の熱い塊が、どうしようもなく僕を動かす。僕だってできる。僕も、何かを守れるんだ。
「理久!」
「理久様!」
おじいちゃんとホゴタが叫ぶのと、僕が振り上げた金串を
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