お題46:“絶対に押すな”と書かれたボタンを押したら、隣の家の犬がフラメンコを踊り始めた。
絶対に押すな、と書かれたボタンが自分の部屋に現れたら、皆さんはどうしますか。俺はコンマ秒で押しました。
「……なんだ、なんにも起きないのか。はー退屈だわー」
学校も行くの面倒だし、何か面白いことが現実に起きないかと望んでいた。そこで出会ったのが、この突如出現したボタンだったのだ。
「せっかく、なんか起きてくれると思ったんだけどなー。世界が爆発しちゃうーとかさ」
そう誰もいない家の中で独りごちる。一応、庭に犬は飼ってるけど、俺の言葉は通じようもない。
「ん? 何か外から音楽が……?」
聞きなれない音楽が聞こえ始めたので、庭に行ってみる。そこには、なんとも珍妙な光景が広がっていた。
「あ、愛犬のサンダーが……フラダンスしてる」
そう、犬が華麗な二足歩行でフラダンスを見事に踊っていたのである。心なしか周囲が輝いているように見える。曲が終わると、サンダーはまだ二足で立ったまま俺の方を見てきた。
「……どうだ、少しは楽しめたか。ご主人」
「お、お前……」
まさか、俺の退屈をどうにかするために踊ってくれたのか。なんて主人思いなんだ。けど……。
「全っ然パンチが足りねえ。もっと派手なことしてくんなきゃ満足できねえぞ」
「……相変わらず、ご主人は手厳しいのである」
サンダーのため息は、実は今日が初めてじゃなかったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます