お題45:空から降ってきたのはUFOでも隕石でもなく、私の体育教師だった。

「うわぁ~ん! 転校初日から寝坊しちゃうなんてーっ!」


 転校生の少女は非常に慌てて全力疾走していた。目的地である学校まであともう少し。


 ドゴォーンッ!


 唐突な物体の着弾音と、少女の目の前に広がる衝撃派に、思わず足を止めた。


「ええぇっ!? 何なんなのぉ!?」


 煙が晴れた後、そこに立っていたのは一人、ジャージ姿の先生らしき男性だった。


「うむ、君は確かうちの転校生だったな!」

「へっ!? あ、はい……」

「しかし、今の君のラップタイムでは始業時間に間に合わん! 体の重心が乱れているぞ!」

「え、えっ?」


 体育教師であり、陸上部顧問である彼は、転校生の走りの悪いところを指摘し始めた。


「良し、取り急ぎフォームを修正しつつピッチを上げるぞ! さあついてこい!」

「ちょっ、その前に先生なんで空から――ひゃあああぁぁっ!」


 先生に爆速で手を引かれた転校生は、初日から音速に引っ張られるという衝撃体験をしたのであった。そのうえ先生が飛んでいた理由は聞けなかった。


 ちなみに始業時間には間に合ったらしい。

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