お題34:隣の席の新人が、明らかに人間のサイズではないお弁当箱を持ってきた。

「よし、昼休憩だな。おい新人、食堂の場所はわかるか?」

「あ、いえ! 弁当を持ってきてますので大丈夫です!」

「おう、そう……か……?」


 昨日隣の席に入ってきた新人は、カバンから超特大サイズの弁当箱を取り出した。


「おい、今どこから取り出した?」

「え? カバンからですけど」

「んなわけねえだろ! カバンより弁当箱のほうがでかいじゃねえか!」


 明らかに物理法則を無視した弁当箱に戸惑いを隠せない。そのカバンは4次元ポケットか何かなのか。


「お前、その量……机からもはみ出てる弁当を一人で食う気か?」

「当り前じゃないですか(笑)」

「俺がおかしいみたいな空気にするな!」


 俺の突っ込みをよそに、新人はものすごいスピードで食べ始めた。食べる、というより吸い込んでいる。箸使えよ行儀悪い。


「いやー僕楽しみだったんですよ。昼休憩にお弁当食べるのが!」

「お、おう。そうか……」


 満面の笑みでそう言いながらも弁当を吸い込むスピードは止まらない。隣の俺、いつか食われないかなと心配になった。

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