お題14:飼い猫が突然しゃべり出したが、最初の一言が「家賃、割り勘ね」。

「家賃、割り勘ね」

「ほえ?」


 いや、誰だって赤ちゃんの頃から面倒見てきた飼い猫が、急にこんなこと言い出したらこんな声も出ると思うのよ。


「急にどうしたの?」

「そりゃあ僕だってさ、ただのタダ飯ぐらいだと思われちゃ困るわけさ」

「猫ってそういうもんじゃないの……?」


 私の負担を減らそうとしてくれてるのかな。気持ちはありがたいけど、あなた猫だよ?


「僕だってやるときはやるんだよ。害虫は絶対家に入れたことないでしょ?」

「あ、そんなことしてくれてたんだありがとう。でもヘソ天しながら言っても説得力無いよ」


 愛嬌は据え置きだけど、ちょっとだけ頼もしく見えたり、見えなかったり。


「そもそも、猫に収入なんて無いでしょ」

「最近はね、ニャイミーでバイトしてるんだ」

「初耳すぎるんだけど!?」


 飼い主に一言も無いとは何事か。いやそもそも喋るのがおかしいって言われたらそれはそうとしか。


「とにかく、家賃を払えるぐらいには稼いでるから。割り勘でいいよね?」

「あ、うん……」


 これ、飼い主より猫の方が稼いでるとか、無いよね?

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