【補遺】
以下は、月島あかねの日記帳から発見された、最後の記述である。
×月×日
今日、三十八回目の変身をした。
変身を解除する前に、この日記を書いている。
読んでいるあなたが、元の体にいる私なのか、それとも別の誰かなのか、私にはわからない。
でも、一つだけ伝えたいことがある。
私は今、とても怖い。
消えるのが怖い。
記憶が残っても、「私」は消える。この恐怖を感じている「私」は、二度と存在しなくなる。
あなたは、この恐怖を覚えているだろうか。
覚えているとしても、それはあなた自身の恐怖ではない。私の恐怖を、データとして受け取っただけだ。
私が本当に怖いのは、そこだ。
あなたが私の恐怖を「覚えている」ことで、あなたは安心するかもしれない。「私は連続している」と思えるかもしれない。
でも、私は——今ここで怖がっている私は——その安心を得られない。
私は消える。
あなたが安心するために、私は消える。
これから何度も、何度も。
どうか、
日記はここで途切れている。
月島あかねは現在も魔法少女として活動を続けており、これまでに計百二十三回の変身を記録している。
彼女の日記帳には、上記の記述以降、新たな書き込みは確認されていない。
変身についての覚え書き @hashito_
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