第2話

 翌日、私は実験を行った。

 まず、変身前の状態で身長を測った。百五十八センチメートル。去年の健康診断では百五十五センチメートルだったから、三センチメートル伸びている。

 次に、変身した。

 そして、再び身長を測った。

 百五十二センチメートル。

 私は目を疑った。測定ミスかと思い、もう一度測った。結果は同じだった。

 変身後の私は、変身前の私より六センチメートル小さかった。


 私は過去の記録を調べた。

 魔法少女になった直後、中学二年の春に撮った写真がある。変身後の姿で、ミルクと一緒に撮ったものだ。

 写真の中の私は、現在の変身後の私と、ほぼ同じ身長に見えた。

 つまり。

 変身後の私は、二年間、まったく成長していなかった。


 私はミルクに質問した。

「ねえ、ミルク。変身後の体って、成長しないの?」

 ミルクは、少し間を置いてから答えた。

『そうだね。変身後の姿は、最初に変身したときの状態で固定されるんだ』

「どうして?」

『魔力を効率よく使うためさ。成長に伴う体の変化は、魔力の流れを乱す原因になる。だから、変身後の体は常に最適な状態に保たれている』

「そう……」

 私は納得したふりをした。

 しかし、心の中では別の疑問が芽生えていた。


 変身後の体が「固定」されているなら、変身中に受けた怪我はどうなるのだろう?

 私は過去の戦闘を思い出した。

 三十七回の戦闘で、私は何度か怪我を負っている。切り傷、打撲、火傷。いずれも軽傷だったが、確かに痛みを感じた。

 しかし、変身を解除すると、怪我は消えていた。毎回、必ず。

 私はそれを、魔法の治癒力だと思っていた。変身を解除する際に、傷が癒されるのだと。

 でも、もし変身後の体が「固定」されているなら、話は違ってくる。

 怪我をした変身後の体は、どこに行ったのだろう?

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