ファイナルプラン
葵流星
ファイナルプラン
私は、自分の母親を殺した…。
いやっ、正確には殺したかったのかもしれない。
すでに、自分の母親が死んでいたのがとても嬉しく思う。
結局のところ、貧困層には親の介護よりも親が先に死んでいくことの方がとてもうれしいことに変わりがない。
そんなわけで、私は、今、刑務所に居る。
罪状は…
ああっ、それを説明するのに前置きはいらないだろう…。
私は、生活保護が却下された。
そして、残りのお金で犯罪を起こし、ここに居るわけだ。
まあ、池袋暴走事故の飯塚幸三氏のような状態といえばいいのか、それよりも若いが、同時に孤独ではある…。
私には、配偶者が居ない…。
経済的な余力もなく、諦めてしまった…。
年収は、見栄として盛って400万円以下、ようはワーキングプアである。
人生をほぼ1人で過ごしてきたが、店に行けば店員が居るし、なにより駅には人が居るので寂しいとは思いもしなかった。
生活保護が却下されると私はいいことを思いついた。
いっそのこと、犯罪を起こして刑務所に入ればいいのだと…。
なぜ、そうしたのかというと門司餓死事件というのが、記憶にあったことだ…。
「おにぎり食べたい」、そう書き残し、伊藤計劃のハーモニーとは違う、望まない餓死そうなるくらいなら、強盗と放火をすればいいと思った。
私は、小麦粉を買った。
次に、花火、ライター、灯油、ライターオイル、綿、ナイフ、USBのオナホウォーマーという製品、そして、USB充電器…火薬は用意出来なかった。
当日、私はホームセンターの軽トラックを借り、資材を家に運ぶという体で車を手にした。
あとは、市役所に行き、USB充電器をコンセントに差し、オナホウォーマーを起動させ、そこに綿…コットンを少しちぎりながら、被せトラッキング現象を起こす為に前もって、仕掛け場所を決めていた場所に複数仕掛けた。
犯行自体は、単純だった…
役所は階段がある為、突撃は出来ない。
ただ、単純に役所のスポットクーラーを使い、小麦粉を入口からばらまいた、続いて警備員に花火を浴びせ、そのまま軽トラックに乗り、近くのコンビニ入り、ナイフを見せ、強盗した。
うまく、店員と客を逃がし、店の前にライターオイルをまき、あとは店内の商品のライターやアルコールを集めて、警察官に投げるなおして、暴れた。
そして、一日も立たないうちに捕まった私は、その後取り調べや精神鑑定を受け、ここに居る。
今は、とても幸せだった…ああ、でも…ガソリンを使えば死刑だったのに…。
最後まで、私は詰めが悪い。
そうして、今日も一日が終わる。
終
ファイナルプラン 葵流星 @AoiRyusei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます