その後、勇者と魔王とその秘書バドラー

 ここは真夜中の魔王城。


「ホー、ホー」


 辺りではフクロウが鳴いています。


「ホー、ホケキョ。ホー、ホケキョ」


 えっ?ウグイス?

 じゃあ、辺りではウグイスが鳴いています。


「ホー、ホー」


 いやどっちやねん!

 とそんなことを話しているうちに、魔王城に砂煙を巻き上げながら何者かが接近してきました。

 その影はちょうど魔王城の外壁との距離が数メートルになった時、高く飛び跳ねました。

 そして影はある窓を割って中に入り込みます。

 それは魔王の居室の窓でした。


 ガッシャーン。


「なんだなんだ?」


 魔王は急いで飛び起きます。

 飛び起きた目の前には、勇者がいました。


「ど、どうした勇者? 今夜は遅いし何か用事があるなら明日に……」


 勇者はその言葉を無視してずんずん魔王に近づいていく。


「いやいやいや、怖いって! 頼むからなんか言えよ! ってうわ!!!」


 ドン。


 魔王は勇者に押し倒された。

 自然と二人は見つめ合う形になる。


「魔王……」


「な、なんだ」


 心なしか勇者は顔が赤くなっているようだ。

 勇者は魔王にゆっくりと顔を近づけ、口を開く。


「俺は王を倒したからバカじゃない。だから、俺にバカって言ったことを、取り消せ!!!」


どういう理屈だよ。


「はあ? そんなこと言ったっけ? というかそんなことでわざわざここまで来たのかよ! 今何時だと思っている! 暇人か!」


「うるせぇ! 俺によっては大事なことだ!」


 その時、魔王の寝室の扉が開いた。


「失礼します。魔王様、近くで勇者様の反応があったのですがこちらに来ていないで……」


「「あっ」」


 ちょうどその時、バドラーが見たのは勇者が魔王に床ドンをして、押し倒している光景だった。

 それを見てバドラーは優しい笑みを浮かべる。


「これはこれは、わたくしバドラーとしたことが。このようなことにも気づかないなんて。お二人方、失礼いたしました。今夜の警護班には近くによらないように言っておきます。それでは、ごゆるりとお楽しみください」


 ゆっくりと扉は閉まる。


「……」


「……」


「勇者、あいつを追え!!! 逃がしたらまずいことになる!!!」


「合点承知の助!!!」


「そのネタ古いわ!」


「黙れ厨二病!」


 二人は扉を開け放ち、急いでバドラーを追う。


「あっもしもし、警備班ですか? コードHです。今夜の警備は取りやめでお願いします。はい、それでは失礼します」


「待て、バドラー! これは違うんだ! 誤解なんだ!!!」


「あらあら、魔王様。恥ずかしがらなくてもよろしいのですよ。このようなことは普通にあることですから」


「頼むから、俺の言うことを信じてくれ!!!」


 この世界は今日も騒がしかった。


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勇者と魔王とその秘書バドラー OROCHI@PLEC @YAMATANO-OROCHI

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