魔女はオトコノコ! -4/5-
「真天さんの髪って綺麗な桃色ね」
「本当。ハーフなの?瞳もペリドットみたいな綺麗な黄緑色だし」
放課後。帰り支度をしている音夢の周りには女子達が集まってきた。体育で一緒だった子達とその友達だ。
「ああ。これ?お母さんの家系はみんな桃系統みたいだよ。色は魔女の血で変わるみたい」
それはそうだ。天然桃色の髪の人間など地球上で確認出来ていない。染めてる人はそこそこいるが。
「瞳はお婆ちゃんのお爺ちゃんと似てるんだって」
大分昔の先祖という事だ。
そもそも魔女の本流は西洋圏に多い。白人系が多い中で、日本の血が濃い母親と、純日本人の父親の血で、髪と瞳以外のパーツはほぼ日本人だ。
なんなら背が伸び悩んでいるのを、日本人の血の所為にしてるくらいには日本人している。
「触って良い?」
「良いよ〜」
「ふわっ!サラサラ!どんなケアしたらこうなるの!?教えて!」
「私も知りたい!」
年頃の乙女達には音夢の長い桃色の髪のが輝いて見えた。
「髪は魔法の媒体で良く使うからね。結構大切にケアしてしてるんだよ。
音夢の魔法薬屋で売ってるから買いに来てね〜」
音夢は修行中の身とはいえ魔女である。
独り立ちしている以上、自分の食い扶持は自分で稼いでいる魔女である。
とっても可愛い良い笑顔で、ちゃっかり宣伝をするのであった。
絶対買いに行くと言ってくれた女の子達。
音夢は初回サービスを付けようと意気揚々にして帰宅の途に着いた。勿論交通手段は箒である。
短めのスカートが捲れないように留意して、飛んで来た先は丘の上。
海と街が一望出来る場所に音夢の家があった。
音夢の家は可愛らしいロフト付きのログハウスだ。
1階部分にはウッドテラスがあり、玄関へは短い階段を登ってテラスを横切って行く。階段の手摺りには蔓性の小さなお花がポツポツ咲いてる。
「ただいま〜」
玄関先まで箒に乗ったままで、玄関扉前で箒から降りる。降りた瞬間消える箒。
今まで飛んでいた事をおくびにも出さず、軽快な足取りで家の中に入っていった。
『おかえり音夢』
出迎えてくれたのは人ではない。
真っ黒な短い毛並みの猫だった。魔女の使い魔として有名な動物だ。
「留守中変わった事あった?」
鞄を定位置に置きながら問い掛けると、黒猫は髭をそよがせて日当たりの良い窓辺の棚から降りた。前脚を床に着けるなりボフンと白い煙に包まれ、
「薬が幾つか売れたよ」
そして煙の中から人の声音で返答を返した。
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