こんな夢を見た

クライングフリーマン

こんな夢を見た

 ============= フィクションです =============

 こんな夢を見た。


 私の実家は、何故か駄菓子屋になっていた。

 母が2階に上がって、レコードを聴きだした。

「何故?」と問うと、「どうせ。お客来ないから」と言う。

 暫くして、「今水だけど、覚えてる?通りがかったから。」と、奥の部屋の母には構わず話をしだした。

 私には、そんな名前の同級生はいない。

「表の騒ぎは?」と尋ねるから、「祭のことでヤンキーが抗争している。」と、答えた。

 数時間後、今水の母が迎えに来た。

 預かり賃だ、と言って、今水の母は一万円を出し、今水と帰って行った。

 お昼前。1階の店で、女の子の悲鳴がする。

 風船が浮いている。

 店の商品かと思ったが、そうでもないようだ。

 どこから入って来たのだろう?

 ああ、今水親子が開けて行ったのか。

 女の子が怖がって理由がすぐに解った。

 風船の真ん中に描いてある顔が睨んでいるのだ。

 だんだんだんだん大きくなる。

 不気味だから、外に持って行き、放り出した。

 その辺を転がるか、空に舞い上がるものと思っていた、

 だが、店に帰って戸を閉めると、風船は外にへばりついている。

 ガラス戸にへばりついている。

 そして、大きくなっていく。睨んだ顔で、こちらを向いて。

 女の子は、まだいた。

「恐いよね、恐いよね。」

 女の子の顔は、風船の顔と同じになった。


「恐いよね。」

 私は、そう言うのが精一杯だった。


 目が覚めた。

 体が異常に固まっていた。


 恐かった。

 今水・・・そんな名前の同級生はいない。


 ―完―



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こんな夢を見た クライングフリーマン @dansan01

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