第四章:優しさが壊れても



 ミラは、リボンを胸に結んだ。

 涙が落ち、床を黒く染める。


 それでも、瞳には光があった。


 「……私は、あなたの代わりじゃない。

  でも……あなたの《続き》には、なる」


 街に、再び罪灯が灯り始める。

 誰かが泣き、誰かが壊れる。


 ミラは魔杖を握り、空を仰いだ。


 「行くよ、先輩。

  私の優しさが壊れても。

  人の願いが歪んでも。

  それでも──私は、サンタだから」


 赤いコートが、闇を裂いた。

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