第8話
「全く君は無茶するんだから」
ほうっと一息ついたシャリフは
軽く打った腰の辺りを撫でた
「この辺りは小さい頃からの遊び場だったもの
どの崖にどんな植物が生えているなんて自然に覚えるものじゃない」
そう全く悪びれもなく言ってから
オーパルは洞窟の地面に腰を下ろした
宙を自由落下したと思ったら
濃く張り巡らされた緑葉樹の枝葉にしっかりと受け止められ
そこからぽんと軽く跳ね上がったところには
小さな洞窟が二人の到着を待ち構えていたのだった
「そう言えばあなたがこの村へ来たのは
私がこの洞窟でよく遊んでた後のことだったっけ」
あなたがここに来る前のことは
私は知らないのよねとオーパルはシャリフの顔を見た
余り楽しい話でもないからねと眉間に皺を寄せたシャリフは
辺りに散らばる小枝をのんびりと拾っては
組まれた枠の中で小さく燃え続ける火にくべた
「ねえどうやって戦ったの」
村に居た頃のあなたは喧嘩も買わない
平和主義だったことしか覚えてないからとオーパルは不思議そうに見つめる
どうせ平和主義ですよ君のお祖母さんはその真逆って言うだろうけど
そう言いながらも
どこか悲し気に見えるシャリフの横顔を
ささやかな光が燈す
「弓矢や弾丸の飛んでゆく方角を
敵に限ってはその出発点へと移し替えただけだよ」
攻撃した方にそれと同じだけの攻撃がそのまま返ってくるだけの話だよ
シャリフは火をかき混ぜながら
つまらなさそうにそう言った
「じゃあ向こうが攻撃しなかったら
その人は無事ってことね。何だ、やっぱり平和主義じゃない」
「それでも人を害してることに違いはないんだ」
それに僕は襲撃が始まってすぐに私立の兵隊も呼んでる
彼らはさっき到着したばかりだけれど
彼らはそんなに甘くない
だから直接手を下さなくても同じことだよ
どうせ僕は偽善者なんだ
そう呟くように言い終えてからシャリフは目を伏せた
「例えば、憎くてたまらない人が自分の中にいて
それでもそれを決して離すことが出来ないのなら
一体どうすれば良いのだろうね」
シャリフのその悲壮な表情にかける言葉が見つからず
オーパルは
立ち上がりそっとその左横に寄り添った
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