第4話
人と人が殺し合うというのはそういうことじゃと
少し震える声が言った
「まあ便宜上、あれらを敵とは呼んでおるが、人はどこに居っても人
その、人が食い詰めて困っておるのだろう?
だからこの子の父親の住むような遠い地から
この地まで命懸けで、這う這うの体でたどり着いた
それを哀れだとは思わんのか?」
長老は懐から長い煙管を取り出すと
もう片手で眉間を軽く押さえ
頭を幾度か振ってからそれに火を点けた
紫煙が一瞬だけ空間に漂っては消えてゆく
「幸い、ここには食い物も水もある
この広い台地や精霊も我らを守っておる
我らとこの村へ住むのが目的というのならそれも良し
何も争う必要はあるまい
それにあいつらが次で最後と言うのなら
どうしてこの村まで襲う必要があろうか」
悲壮な表情を浮かべた
シャリフと呼ばれる男が口を開いた
「長老、最後という言葉に惑わされてはなりません
現在行われているのは、土地の略奪なのです
そしてあいつらは残虐な手段で殺戮さえ繰り返す悪魔なのです」
小刻みに震える体を長老は凝視する
オーパルはじっと机の方角を見ていた
「彼らの目的はこの土地や他部族の土地をも全て乗っ取り
ここは自国であると宣言することにあるのです
このままではあなた達は滅びてしまうのです」
「まるで未来に何が起こるか見て来たかのようじゃな」
「私はあなた方の言う預言者とも似た
魔法使いと呼ばれる者
どう取られても構いませんが私の助言だけはお聞き入れ願いたい
どうか兵を村に入れることをお許し下さい」
シャリフは丁寧に頭を下げた
さあてな
ワシの一存で決めることでもあるまいしと長老は独り言ちた
「今日は珍しい祝いの日なのじゃ
お主も戻って来た
今まで誰からも首飾りを受け取ったことのないオーパルも
今は飾りを身に着けておる
そんなめでたい席でこのような気の滅入る話もなかろう
それに外ではまだまだ宴は続いておるのじゃ」
ほら行くぞと長老はオーパルとシャリフの手を取った
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