第3話
テントの入口がふわりと上がり
まだ眩しいほどの光と砂埃が一緒に舞い込んできた
薄い隔てだというのに歌声がよりくっきりと流れ込む
「久しいの、跳ぶギンギツネ」
凛と威厳を纏った声が低く響いた
しゃらしゃらと装飾品が音を立て白髪の女性が2人へと近づいた
「お久しぶりです、長老」
「何の何の
ワシ以外の年長がいないからやっとるだけじゃ
それにしても
オーパルがこんなにも嬉しそうなのも久しぶりじゃな」
何だそれはと全てが大振りな顔の目が細められ
孫娘の首が凝視の的となる
ほうそういうことかとひとりごちた
「改めて、よう帰って来たな
それで、お前たちの祝言はいつ頃だ?」
「お、おばあちゃん!」
「まあ最後の戦いが終わるまで
まず保留というところじゃろうがな」
おっしゃる通りですと男は身を低くした
「ところで私が不在の間に、この村の人口もかなり増えたようですね」
「近隣の村が次々と潰されておるからな
ワシらの親戚づきあいをしていた村もあれば
こやつの父親のような移民と混じりあった村も襲われておる」
むごいことよとため息が漏れる
「よんどころなく住処を失った者をここへ集めておるだけじゃ」
「移民も分け隔てなく」
「我らの良き隣人ならば、何を恐れることがあろうか」
お主とてこの村へ定住する前は我らの隣人だったではないかと言葉が続いた
席を外そうと立ち上がる孫に
皺の深く刻まれた手が
構わぬからそこに留まれと示す
恐れながらと柔らかくも芯の通った声が響いた
「数日以内に再び攻撃を受けるだろうと言う予測が立っております」
「だが、この村に残るのは傷を受けた者が大部分でな
それをまた戦いに駆り出すのものう
それにわが村の主要な戦力は最後の戦いとやらへ向けてあの砦で訓練の真っ最中
なあに、要は次の戦に勝利すればいいのだろう
それまでに余り時もない
敵にこの村を襲っている暇などあるものか」
「それでも見張りだけでは危険です
戦力が足りないのならば私がかけあって十分な抑止力をこの村へ・・」
「シャリフよ」
ぎろりと大きな眼が長い髪の男を睨んだ
「そなた、己の子を目の前で亡くしたことはあるまい」
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