第七章

第七章 密猟者


 あの雪山に 密猟者が 出るらしい

 そんな噂を聞いた

「え?」

 レイチェルが みてと 雪豹の 毛皮の カタログを 持ってきた

 かなりの高価だ

 えっと……

 なーなー サーバル不安そう

 びゃうびゃう

 雪豹のおチビはスノウと 名がついた

「ねぇ……ジェイク……雪山付き合って」

「ん?」

「あの子が 心配なの密猟者が いるんだって……」

「ああ……」

「これ仕事じゃないけど」

 ポン……ジェイクが私の頭をたたいた

「いいさ……いこう……」

「あのね悪い予感がするの!」

 ジェイクが口元を緩めた

「お前でも……そんなの気にするんだな……」

 目が優しい

「ありがとう」

「いいって……」


 こうして再び雪山に来て 私は見てしまったのだ


 雪豹が密猟者に 狩られる瞬間を……!

 しかも……その子は人間には手を出さないでねと 約束したその子

 皮を剥ごうとして ダガーを 抜いた背に 魔法銃の ファイヤーが 炸裂した

 あちち……!

 あわてて雪に転がる 密猟者

 私は硬直してしまって

「人を襲うな……なんて……」

「しっかりしろ!ラク」

 ジェイクの 手が ファイヤーを 装填した

 ガオン……

 再びファイヤー

わー!

 密猟者が 逃げ出した

 私……歩けない

 冷たい雪に血を散らせた あの子に……

 なんて……なんて?

「こい!」

「あ……」

 ジェイクが 強く手を引いた

 そして ペタリ……

 その子の脇へ

「まだ助かる!魂が飛んでない!お前ならいけるだろ!」

「う……」

 涙がボロボロ……でも そっと手を伸ばした

「戻っておいで……」

 びゃーう……

 スノウが雪豹を 舐めた

ごう……

 雪が強くなった

 凍える

 びゃうびゃう……

 ぽん…ぽん

 雪豹の 長い尾がリズムを 刻みだし

くんと 鼻が動いた

 あ……ああ……

 私は雪豹の 頭を抱えた

 うっすらと目を開ける その子は

 ベロンと私の顔を舐めた

 そして 涙でしょっぱかったのか

 レロレロと口の周りを舐めている

「よかった……ごめんね……」

「びゃう……」

 雪豹の長い尾が 私を抱き寄せる

「びゃーう」

 雪が 外套に つもる

「びゃう……!」

 雪豹が 立ち上がり

 そっと 発光した 雪が止んでいく

「みゃうみゃう」

 甘えるみたいに鳴いて 雪豹は くるくると 喉をならす

 おまえ……は

 私が 雪豹の 首にすがった

 なーなー

 サーバルが あっためてくれる

 そうして 雪豹は 名残惜しいように去り

 スノウとサーバルは 私とジェイクの 傍で尾をうちふった

 パラパラ

2人の外套から 積もった雪がおちる

 そして

「ラクーナ……」

 ジェイクが 珍しく その呼び方をした

「お前さ……泣き虫なんだな……」

「うっさ……」

 その頬に ジェイクが ふわと キスをした

「ばーか……背負ってんじゃねーよ!俺に言え」




 

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