社内恋愛の始まり方(e.g.)

陽七 葵

1話完結

 静まり返った真夜中の公園。

 さっきまで乗っていたブランコが二つ、キィキィと音を立てて小さく揺れている。

 近くのベンチからそれを眺めていると、私の右手の上に彼の左手が重なった。そして、そのまま見つめ合い、二人の顔が近付いて——。


「真夜中の公園って、そんな感じの雰囲気ですよね。どんな恋も実りそう」

「そう? 俺は不審者がいつ襲ってくるかドキドキものだよ」

「先輩、夢なさすぎ。ってか、怖くなっちゃったじゃないですか」

「はは、悪い悪い」

 ハハハと笑いながら頭をクシャッと撫でてくるのは、青柳あおやぎ とおる二十八歳。会社の先輩で私の指導者。

 そして、私は神谷かみや 七海ななみ二十三歳。今の会社に入社して一年。まだまだ教わることは沢山あるが、ひとまず青柳先輩が付きっきりで指導してくれるのは今日まで。来週から青柳先輩は新たに入社してくる新入社員の指導者になる。

 正直、私は青柳先輩が苦手だ。何を考えているのか分からないし、いつも淡々と仕事をこなし、仕事以外の話をしない。プライベートを一切見せない男。

 ミスをしても、怒りもしなければ、慰めてもくれない。ただただ違うと指摘され、それに対してどうすれば良いのか対処方法を教えてくれるだけ。

 そんな青柳先輩と、深夜の公園で缶チューハイを片手に乾杯しているのには訳がある。

 基本残業はない部署なのだけど、同僚が仕事で大きなミスをした。それを部署の皆が総出でフォローに回ったのだ。終電にギリギリ間に合う時間帯に終わり、解散。

 電車を待っている間、私はスマホをいじろうと鞄の中を見た——。


『あれ? 無い……え、うそ、会社に忘れた?』

 ゴソゴソと鞄の中身をひっくり返す勢いで探すが、見つからない。

 会社に戻ったら終電を逃す。しかし、スマホがないと不安でしょうがない。予定はないにしても、明日明後日は休みだ。休みに会社に行きたくもないし……うーん……。

『タクシー代勿体無いけど、取りに戻るかぁ……』

 終電を諦めた。

 階段を上り、元来た方へと歩く。ピッとICカードをタッチして改札を出た。その時だった。

 ピー!

 改札機のエラー音が聞こえた。

『マジかぁ、残高……』

『あ、先輩だ』

 それは、青柳先輩だった。青柳先輩は、急いでチャージをしに走る。慌ただしくチャージをする様は、どこか新鮮で、ポゥッと眺めていた。

 再び改札にICカードを翳せば、今度はすんなり通過。そして、タイミングよく終電が来た模様。終電を知らせるアナウンスが流れた。

 間に合っただろうか。せっかくなので、もう少し終電後の様子を観察することにした。

 駅まで来て引き返す人が数人。そして、何人か青柳先輩のように駆け込んで間に合わなかったのだろう。改札から出て来る人がチラホラ。そして、その中に……。

『プッ、間に合わなかったんだ』

 つい笑いが溢れてしまった。

 しかし、呟き程度なので誰にも聞こえていない。そう思っていたら、青柳先輩に聞こえていたようだ。

『神谷?』

 不愉快そうに近付いて来たので、姿勢を正す。

『先輩、ど、どうしたんですか? 私は何も見ていませんよ。先輩が焦ってチャージする姿なんて……あ』

『そんなの見られてたのか』

『だから見てませんって』

『ところで、お前は何してるんだ? お前も今の電車のはずだろ?』

『あー、はい』

 それから、私と青柳先輩は一旦会社に戻った。スマホを会社に忘れた人間と、残高不足で終電を逃した人間、どちらがダサいか論争を繰り広げながら——。

 スマホを無事回収した私と、それに付き合ってくれた青柳先輩。意外と話は途切れる事なく、タクシーを拾うタイミングも、ましてや呼ぶことだっていつでも出来るのに、何だかんだ二人で歩いた。

 途中、何となくコンビニに立ち寄り、お酒とおつまみを購入。そして、近くにあった公園で乾杯。

 それが、これまでの経緯——。


「先輩って、思ったより普通なんですね」

「は?」

「いや、だって、会社では仕事の話しかしないので」

「当たり前だろ。会社なんだから」

「そうなんですけど」

 会社以外で話すと、案外普通の人だった。何をもって普通なのかは分からないが、とにかく青柳先輩のことを仕事人間だと思っていたので、仕事以外の話をしている青柳先輩が何処にでもいる普通の男の人に見える。

 それに、お酒が入っているからか、良く笑うし、良く喋る。まるで別人だ。

「ちなみに、先輩は結婚しないんですか?」

 普段は『仕事中だ』と言われて聞けないようなことも、今なら聞ける。仕事中ではないから。

「相手がいればな」

「え、彼女いないんですか!?」

「そういう神谷は、どうなんだ?」

「聞きたいですか?」

 勿体ぶったように言えば、青柳先輩は笑いながら言った。

「いたら休みの日に、アイドルの追っかけなんてしてないか」

「追っかけって……推し活って言って下さいよ!」

「はいはい」

 青柳先輩が、缶ビールの二本目に手を出した。

「良く飲みますね」

「明日、休みだからな……くぅ、美味い!」

 本当に美味しそうに飲む青柳先輩。ビールは苦手な私だが、本当に美味しいのではないかと思ってしまう。

「神谷も飲むか?」

 飲みかけの缶ビールを差し出され、受け取った。代わりに私が持っていた桃の缶チューハイを青柳先輩にヒョイと取られた。

 私は、飲みかけの缶ビールを口に当て、傾けた。同時に、青柳先輩も桃の缶チューハイをグビッと飲んだ。

「苦ッ!」

「甘ッ!」

 ビールは、やはり苦かった。到底美味しいとは思えなかったが、何だか楽しい気分にさせられる。

「先輩、よくこんなもの飲めますね」

「お前もな。甘すぎだ」

 互いに缶ビールと缶チューハイを交換し、元の場所に戻った。

 青柳先輩が口を付けた缶チューハイ。何だか照れてしまう。中学生みたいな事を考えてしまったと思いながら、チビッと缶を傾ける。

「神谷、そろそろタクシー呼ぶか?」

 時計は、既に一時半をさしている。

「先輩、明日予定ありですか?」

「んー、布団干そうかなって」

「あー、良いですね。おひさまの匂いの布団」

「だな」

 青柳先輩がチーズを食べたので、私もナッツを食べる。

「あ、そうだ。青柳先輩って映画観たりします?」

「観たいのがあれば」

「今やってるコレ、オススメですよ」

 スマホで検索して見せれば、興味があるのか無いのか、小さく相槌を打たれた。

「へぇ。神谷は観たのか?」

「はい。三回観ました」

「は? 三回? 映画館で?」

 驚いたような、それでいて呆れた顔で見られた。

「推しが出てるんですよ。ブルーレイも買う予定です」

「へぇ」

 青柳先輩は缶ビールを傾け、ベンチにカタンとそれを置けば、物憂げな表情で空を眺めた。

「青柳先輩、タクシー呼びます?」

「ん」

 そう言いながらも、青柳先輩は空を見上げたまま動かない。

 私も同じように空を見上げた。田舎の空に比べたら全くと言って良い程に星がない。あるにはあるが、本当に少ない。

「俺の実家、九州なんだけど、これの五倍は星があるぞ」

「へぇ。青柳先輩、九州出身なんですね。全然訛ってないですね」

「まぁな」

 それから暫しの沈黙が流れ、私の飲んでいた缶チューハイも空っぽになった。

 いよいよ青柳先輩ともサヨナラか……と、何故か名残惜しい気分になる。

 青柳先輩の顔をチラリと見上げれば、青柳先輩も私の方を見た。静寂の中、十秒程見つめ合い、私は何となく目を瞑りかけたその時、青柳先輩が口を開いた。

「この音、何だ?」

「え、あ……お、音ですか?」

 思わず目を瞑って、キスが来るのを待つところだった。恥ずかしい。

 私は、青柳先輩の言っていた音の正体を突き止めるべく、耳を澄ました。すると、背後の草陰の方から小さな音が聞こえてきた。

「これは……」

 おそらく、誰かがキスをしている音だ。それもかなり濃厚でディープやつ。

 先に音に気付いた青柳先輩も、その音の正体が分かった模様。ぎこちなく立ち上がって言った。

「い、行くか」

「そ、そうですね」

 ぎこちなく立ち上がり、鞄を肩にかけた。青柳先輩が手早くその場を片付け、コンビニ袋を広げてきたので、持っていた空き缶を入れた。

 私達は、草陰を一瞥してから、何も聞かなかったかのように公園を出た——。

 公園から百メートルくらい進んだ辺りで、青柳先輩が立ち止まった。私も足を止める。

 そして、互いに我慢していたものを吐き出した。

「何であんなとこで……夜の公園って、あんなのばっかなのか? どう考えても、俺達いるの分かってんだろ!」

「あれ、わざとですよ! 見せつけたいんですよ! 変態の極みです」 

「やっぱ、夜の公園なんて変質者の集まりだな。神谷は、夜の公園禁止な。指導者命令」

「青柳先輩、私はもう一年経ったんですから、昨日で先輩から卒業です」

 得意げに胸を張れば、青柳先輩もそれを上回るように自信満々に言った。

「残念だったな。四月一日は、明後日だ。厳密に言えば、明日までは俺が神谷の指導者だ」

「むッ……でも今日、いやもう昨日か、昨日、お互いに『ありがとうございました』って挨拶したじゃないですか」

「そりゃ、明後日までもう会わないと思ってたからな。三月三十一日までは、俺が指導者だ。俺の言うことを聞け」

「んな無茶苦茶な」

 うんざりした顔を見せれば、次の瞬間、顔を合わせてハハハと笑い合った。

 深夜の妙なテンションのせいか、はたまたお酒の効果か、楽しい気分になる。このままこの時間が続けば良いのに……とさえ思ってしまう。そして、青柳先輩も同じ気持ちなら良いのに……と思う。

 しかし、そうは問屋がおろさない。

「そろそろタクシー呼ぶか」

「ですね」

 あくまでも、私と青柳先輩の関係は、職場の同僚。それ以上でも、それ以下でもない。

 青柳先輩がスマホを手に取ったので、この時間も終わりを迎えるのだと覚悟する。

「先輩……?」

 青柳先輩が、スマホをポケットにしまった。

「神谷、夜桜見に行きたくないか?」

「夜桜ですか?」

 さっきの公園にも桜があり、互いに『今年の花見はこれで十分だ』と話したばかりだ。

 青柳先輩が何を考えているのかは分からないが、私の気持ちは、“まだ帰りたくない”。だから、返事は決まっている。

「行きたいです」

「よし、じゃあ歩くか」

「ですね。どこか良い場所があるんですか?」

「んー、近くの公園……? どっか咲いてんだろ」

「はは、先輩、テキトーすぎ。仕事じゃ、あんなにキッチリしてるのに」

「今はオフだからな。つべこべ言わず、指導者の俺に付いてこい」

「青柳先輩、矛盾し過ぎですよ。オンオフ切り替えるなら、今は私の指導者じゃないですよ」

「そこはずっとオンだ」

 どちらでも良いけれど、この時間がまだ続くと思うと、つい笑みが溢れる。多分、酔っているせいだ。

 ——それからも何気ない会話をし、歩いた。探して歩けば、街路樹の桜は目に映るが、意外と桜の咲いた公園は見つからないもので、かれこれ三十分は歩いた。

「って、先輩。何でこんな道……」

 どう見てもここはラブホ街。何だか、青柳先輩に誘われているようでムズムズする。

 誘われたら入るべきか。いや、先輩と後輩、それ以上の関係は流石にまずい。まずいが、皆に内緒で社内恋愛も憧れる。こうやって夜中に一緒にいるのだって、職場の人には言えない。青柳先輩が本気なら——。

「わ、悪い。どうせなら少しでも家に近付く方が良いかと思って。他意はない」

「そ、そうですよね」

 ちょっぴりガッカリしたのは内緒だ。

 青柳先輩もこういう場は恥ずかしいのか、顔を赤くしている。

「は、早く行こう」

「はい」

 足早に歩く先輩の横を遅れないように付いて歩く。

「……」

「……」

 さっきまで饒舌だった青柳先輩も、無言になってしまった。私も自ずと無言で歩く。それでも居心地が悪いとは思わない。

 無言で歩くこと数分。ホテル街を抜けた時だった。青柳先輩が言った。

「休憩するか」

「え?」

 どの休憩だろうか。振り返れば、ラブホの“休憩”の文字が目に映る。やはり青柳先輩も男だなと思っていたら、顔を真っ赤にして言われた。

「ち、違う。そこじゃない」

 青柳先輩は、照れたようにバス停のベンチを指さした。

「コッチ。足、痛いんだろ?」

「え、先輩。何で……」

 図星だった。

 先日新しい靴に買い替えたばかりで、まだ慣れない上に、思った以上の長距離を歩いた。踵に靴擦れが出来ている。

 しかし、バレれば気を遣わせることになり、夜桜探しも中止となることだろう。街路樹の桜で十分だと言われて。だから、足の痛いのがバレないように我慢して歩いていたのに——。

「ここでタクシー待つか」

 ほら、やっぱり。

「いえ、私、足痛くありませんから」

 痩せ我慢しながらベンチを通り過ぎようとすれば、腕を掴まれた。

「神谷」

「な、何ですか?」

 真夜中に男女が二人、何故かキュンとしてしまうシチュエーション。このまま引っ張られてギュッと抱きしめられて——。

 いかんいかん。妄想が独りよがりしている。

「私、夜桜見たいです」

「え、あ、悪い。泣きたい程見たかったのか」

 気付かない内に泣いていたようだ。涙がポロポロ出て来た。

 しかし、これは夜桜が見たくてではない。それは確かだ。ただ、何で泣いているのかは分からない。多分お酒のせい。そういうことにしておいて欲しい。

「分かった。じゃあ、明日……明日見に行こう」

「え?」

「もっとこう、河川敷とかにある桜並木の有名どころのやつ」

 私の涙は最高潮に溢れている。それを青柳先輩がハンカチで拭ってくれた。

「青柳先輩……」

「何だ?」

「女慣れしてますね」

「は?」

「涙の拭き方ですよ」

 涙を拭う時に化粧を気にして、目尻の方をトントンと叩くようにハンカチを当てているのだ。女慣れしていない男性は、まずしない。私は見たことがない。

「バッ、これは、前に相談に乗った女子社員が泣いてて、その時に」

「その時に口説き落としたんですか?」

「ま、まぁ、付き合いはしたが、断じて口説いてはない」

「付き合ったんだ……」

 二十八歳で誰とも付き合っていないなんて思わないが、何だか嫉妬してしまう。そして、社内にその相手がいると思うと、余計に。

「と、とにかく座れ。足、見せてみろ」

 半分無理矢理ベンチに座らされ、丁寧に靴を脱がされた。

「痛ッ」

「うわ、よくこれで歩いてたな」

 自分で見てはいないが、血が出ているのは何となく感覚で分かる。

「帰って絆創膏貼っとけば大丈夫です」

「そういう訳には、いかんだろ。何かないか……」

 青柳先輩が、自身のポケットやら鞄を漁り始めた。しかし、何も無かった模様。探すのを諦めて辺りをキョロキョロと見渡した。

「コンビニ無いかな……」

「先輩、もう良いですって」

「良くない。俺が歩かせたんだから」

 青柳先輩って、仕事でも意外と譲らないところあるんだよな。そういうところが好きだったりする。

「あ、いや、今の好きは、人間としてであって、別に他意は……」

「どうしたんだ?」

 つい、心の声が漏れてしまっていたようだ。穴があったら入りたい。

 青柳先輩に顔を覗き込まれ、逃げたい気持ちでいっぱいだ。しかし、足を持たれているので逃げられない。思い切り顔を逸らして誤魔化す。

「あ、あの……新しく来る新人さん、良い子なら良いですね」

「俺のペアは、神谷と違って真面目そうな青年らしい」

「私と違ってって、私だって真面目ですよ」

 ムスッとして見せるが、青柳先輩が指導する新人が男性だと聞いて、内心安堵する。

「それより、靴擦れどうにかしないとな……」

 まじまじと足を観察され、お酒で赤い顔が更に赤くなる。

「だから、帰って絆創膏貼ってれば大丈夫ですって」

「じゃあ、せめて家まで送らせてくれ」

「え!? でも、青柳先輩の方が、うちより一駅手前ですよね?」

 私を家まで送れば、青柳先輩は引き返す形になるのだ。時間もお金も無駄になる。まだまだ一緒にいたいと思うし、その優しさに甘えたいと思う。けれど、流石に迷惑はかけられない。

「勿体無いですって。私、一人で帰れますから。途中でおりて下さいよ」

「いや、最後まで送る。タクシー呼ぶから待ってろ」

 青柳先輩の手が緩み、片手でスマホを操作し始めた。

 私は、チャンスとばかりに脱がされたヒールの靴を拾って履き直す。

「ちょ、神谷。そのまま履いたら痛いだろ」

「女はこれくらい慣れてますから」

「意地っ張りだな」

 呆れた顔を見せてくる青柳先輩。先輩も大概だと思う。だってほら——。

「神谷、指導者命令。言うこと聞いとけ」

 事あるごとに“指導者命令”。

「先輩、ズルいです」

 俯いて言えば、宥めるように青柳先輩に頭をポンポンと撫でられた。

「明日は、スニーカーで来いよ」

「え」

「夜桜、見たいんだろ?」

 顔をパッと上げれば、青柳先輩は悪戯に笑って言った。

「ちなみに、明日の二十四時までは俺が指導者だから。拒否権はないぞ」

 嬉しかった。明日も会えると思うと嬉しくて笑みが溢れそうになった。

 この気持ちは何なのか……恋と言われれば恋だろう。しかし、終電後の深夜という特別な時間帯に、更にお酒まで飲んでいるから、妙なテンションになっているだけとも考えられる。

 ひとまず、私は嬉しさを隠すようにジト目で青柳先輩に言った。

「青柳先輩。それ、パワハラですよ」

「あ、そ、そうだな。悪い、今のなし」

 青柳先輩は、本気で焦っている様子。揶揄い過ぎたかもしれない。

「ハハハ、冗談ですよ。明日は奢って下さいね」

「『明日は』って、『明日も』だろ」

「数百円で奢った気になってるなんて、青柳先輩小さい男ですねぇ」

「神谷、言うようになったな。仕事でもそれだけ発言してくれたら良いんだけどな。さ、帰るぞ」

「はぁい」

 何度もタクシーを呼ぶ事をスルーしてきた私と青柳先輩も、明日の約束をしたからか、今回はすんなりとタクシーを呼んで帰路に着いた。

 もちろん青柳先輩は、我が家のアパートの前までしっかり送ってくれた。

 ——今夜の出来事がきっかけで、青柳先輩が私の彼氏……旦那様になるのは、もっと先の話。




               おしまい。

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