第16話 シーソーゲーム
昼休み。
明日香は、愛とは別の同僚と並んで昼食をとっていた。
「ねえ、明日香。
最近、影山さんと一緒にいないよね?」
同僚が、
何気なく聞く。
「ああ、愛?」
明日香は、
箸を止めずに答えた。
「だって、
もう用済みだもん」
鼻で笑う。
「散々さ、
幸せマウントしてきたくせに」
少し声を潜めて、
楽しそうに続ける。
「彼氏と結婚間近とか言ってて、
結局、別れたんだよ?」
くすくすと、
笑いが漏れる。
「ウケるよね」
同僚は、
曖昧に笑った。
それ以上、
話題は広がらなかった。
明日香は、
最後まで満足そうだった。
誰かの幸福が崩れる瞬間は、
思っていたより、
ずっと甘かった。
――人の不幸は、蜜の味。
それだけを残して、
物語は終わる。
シーソーゲーム 余白 @YOHAKUSAN
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