第4話

 とりわけ華々しい観光スポットもないのだが。

 こっちのほうが家も多く、村をぶらぶら散策。

 地場産業の酒蔵の工場見学をさせてもらった。


 以前バイトをした食堂でお昼を食べ、海辺へ。

 写真を撮ったり、小さなスケッチブックに色鉛筆で絵を描いたり、海岸をてくてく。


 あれ?


 気がついたら、お墓に来ていた。


 この地のお墓は、長方形の墓石が建つ普通の日本のとは異なる。

 広い敷地に、古墳みたいなのや、丘陵段差を利用したほこら、巨大カマドみたいなの、と多種多様。


 しかも私が迷い込んだ地帯は、現役のやつではなく、古い朽ちた遺跡のようなのが、まばらにあるばかり。

 丘のように起伏があって、青々生い茂る背の低い下草を、海風が揺らす。

 遠くまで見渡せる、開けた場所。

 薄気味悪い感じはしない。


 海から離れ墓場を突っ切って、内陸の公道を目指そう。


 進んでいくと、行く手ゆくてのじゃり道の真ん中に、素焼きの素朴なツボみたいなのが転がって落ちていた。

 小ぶりでなんの装飾もなく、上下が少しすぼまって丸みがある。


 なんとなく手に取ってみる。

 釉薬ゆうやくもかかっておらず、備前のようにしっかり焼き締めた感もない。

 レンガほど赤くなく、弥生土器みたいな色。

 へえ〜どこも欠けてないし、汚れも全然ない。


 ハルさんは、若い頃に自分で作った陶芸作品を、庭先にいくつも転がしている。

 また、これに似た感じの素朴な壺や大きなかめを彼女は持っていて、ゴミ箱や傘立てにしている。

 きっと彼女の好みだ。


 そして彼女は、浜辺に打ち上がる、海から流れてきた物コレクターなのだ。

 一緒にビーチコーミング・ピクニックしたこともあり、拾い物に抵抗がない。


 持って帰ったら喜ぶかも? 

 なにげない気持ちで、道端に打ち捨てられたように転がっていた壺を、私は小脇に抱えた。


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