第Ⅳ章

我が国は無条件降伏、よく言えば終戦した。 俺は、この勝ち目のない戦争・敗退続きだった戦線と、我々は良くついてきたと思う。 俺たちは終戦を喜んだが戦争は簡単には終わらなかった。 逆にドイツと戦争をすることになり丘の方ではドイツ軍と武装解除しなかったイタリア兵が連合軍と交戦していると耳にした。元同盟国に向けてまた引き金を引くことになるとは歴史は繰り返すんだなと感じた。海軍の方は主力艦はすべて連合軍接収されたが、前線に近いところで活動していた小型艦や潜水艦は一部拿捕または自沈になったらしい。空軍の方はどうやら北と南で分かれたと連合軍兵士の噂できいた。元仲間に殺されないことを祈りながら俺は自分の配属艦に乗艦した。上官たちはドイツ軍の報復攻撃は必ず来るだろうと予想しており急ぎ出航したが、予想よりも早く、そして予想を上回る兵器を使ってくるとはこの時は誰も予想していなかった。我が艦隊が武装解除のため移動を開始した翌日、上空警戒をしていた見張り員から爆撃機が我が艦隊へ接近中との報を報告した。艦長から対空戦闘用意の号令ののち「攻撃あるまで待機」の命令が下った。 その時俺は甲板におり、空を見上げた。目の良かった俺はあの爆撃機が何か見たことのない爆弾らしきものをぶら下げており、その謎の爆弾を投下したのを見た。 俺は叫んだ。「爆撃だ!!」そして対空砲に乗り反撃した。俺の叫び声を聞いた他の奴も緊張がピークに達したのか対空砲を撃った。多数の対空砲から放たれる轟音と火薬のにおい、そしてあまたの対空砲弾が上空の敵機に向けて放たれていた。 他の敵機も爆撃進路をとっており、いつ投下してもおかしくない状況だった。 俺たちは撃ち続けた。 先頭の敵機が火を噴いたのが見え、よしと思ったその瞬間、先頭の爆撃機が投下した白色をした爆弾らしきものが目の前に落ちた。 そして爆発音のような轟音と揺れが俺たちを襲った。 その爆弾は俺の操っていた対空砲の目の前に突き刺さっていた。 俺たちは目の前の爆弾に放心状態になり、逃げる間もなく一瞬の閃光とともに意識がなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る