#2
――――校門・・・教室、そして談笑する同級生
様々な話題が飛び交う中、私は席へと向かう。・・・が――――
「お、サクじゃーん、おっはよー。」
(・・・やっぱり来たか。)
前の人生の友人。・・・腐れ縁は断ち切れないらしい。
「・・・おはよう。」
「なーなー聞いてくれよー、実はさー昨日――――」
他愛もない時間が流れる。・・・彼への相槌と時々の反応を交えながら。
「――――でさー、マジ許せないよなー。あ、サクって兄弟いたっけ?」
「いるわけ――――」
言いかけた言葉につまる。・・・懐かしい空気に流されていた・・・。
「――――・・・いる。妹が一人。」
「お、マジー?じゃあ分かってくれるよなー?この気持ち。」
・・・彼の妹はかなり傲慢だ。言い分もわかる。だが――――
「しっかり話せてるだけ、まだいいんじゃないか・・・。正直俺にはわからん」
(ナギのことが・・・。)
「えー。なんだそれー。
まぁいいよ。あ、授業始まりそうだしまた後なー。」
・・・静まる教室。そして今日もまた、学生に紛れた一日を送る。
――――住宅街、カラスの鳴き声、そして・・・。
日が灯す中で、自分の足音だけが響く・・・。
(・・・。)
・・・自宅へと歩みを進める。・・・少しの喪失感を感じながら。
――――玄関、脱ぎ捨てられた靴、そして、照らされた廊下・・・。
カバンを下ろし、リビングへと向かう・・・。そして――――
「あ、おかえり・・・サク。」
「・・・ただいま。」
夕飯の支度をする母・・・そして、ソファに居座る妹。・・・いつもの光景だ。
「おかえりー・・・。」
声だけが返ってくる。・・・起き上がる気はなさそうだ。
「・・・あ、おかあさーん。今日の夜ごはんってなーにー?」
「ふふっ・・・今日はね・・・ハンバーグ。」
「・・・。おにいちゃんの好きなものじゃん。」
ネクタイにかけた手が止まる・・・。
「・・・ありがとう、楽しみにしとく。」
・・・ネクタイを外し、自室へと向かう。動揺を隠すようにして・・・。
――――数時間後
自室を後にする。・・・私を待っていたようだ。
「・・・おいしそう。いただきます。」
「いただきまーす・・・。」
「はーい、めしあがれ・・・。」
灯されたリビング。穏やかに時間が流れる・・・。
「・・・なぁ、ナギは、何が好きなんだ?」
妹の箸が止まる。少しの沈黙ののち――――
「・・・知らない。」
「・・・え。」
妹は再び箸を進めた。
「ごちそうさまー・・・。」
・・・そしてリビングを後にしていった。私の箸を止めたまま・・・
(・・・冷めてる。)
「・・・ごちそうさま」
微笑む母。私もリビングを後にした・・・。
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