#3

――――一年後


「・・・ナギ、起きてるか」

あれから私はドアだけをノックしている・・・。


「どう・・・?ナギはおきてた?」


「・・・たぶん。」


「・・・あの子、だいじょうぶかしら・・・。」

・・・私は椅子に座った。


「・・・あ、ナギ・・・おはよう」


「・・・。」


ナギは椅子に座ったまま俯いた・・・。


(・・・。)


――――登校後

「お、サク。元気してた?」


「・・・。いつもと変わらん。」

・・・友人に視線を向けた。


「そうかぁ、かわいい子は見つからなかったか」


微笑から目を逸らした。


「まぁ、美人探しもほどほどにしとけよー。サク。」


「・・・あのな、だからあんたじゃ――――」


「いいから」


・・・私は友人の言葉にうなずいた。


――――放課後

「じゃーまたな。サク」


「・・・おう。」

私は教室を後にした・・・。


(ほどほどにしとけ・・・。か)


・・・廊下を抜け下駄箱に向かう。・・・その時


「おにいちゃん・・・?」


ナギの声が聞こえた。


「・・・。 いっしょにかえらない?」


「・・・。そうだな」


・・・ナギとともに学校を後にした。



「・・・あのさ、おにいちゃん。」


歩みを進めながら私は・・・視線だけを向けた。


「・・・私にあわせなくても、いいんだからね・・・。」


「・・・。」

私はまた視線を逸らしてしまっていた。


「・・・。ううん・・・わかってた

 ずっと私のこと気にしてくれてたんだよね・・・。

 朝、おこしてくれるのも

 こうやって・・・いまも私を気にかけてくれてるのもぜんぶ・・・。」


「・・・だからさ――――」


(・・・いわないでくれ)


「――――もう私のことはきにしないで・・・。」


静けさだけが住宅街に流れた・・・。

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